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ドライフルーツと2型糖尿病リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は事務作業などの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ドライフルーツと糖尿病リスク.jpg
Nutrition & Metabolism誌に、
2024年7月10日付で掲載された、
ドライフルーツの健康効果についての論文です。

ドライフルーツは果物を乾燥させたもので、
繊維質やミネラルなどの栄養素が濃縮され、
効率的に栄養を摂ることが出来ると共に、
一部の栄養素は生の果物より強化されている、
という報告も見られます。

果物自体の健康効果も確認されていますから、
ドライフルーツはより簡単に果物の健康効果を享受出来る食品、
という言い方も可能です。

ただ、果糖などの甘味成分も濃縮されているため、
糖尿病のリスクを高めるのではないか、
という見解も一部に根強くあります。

果物自体も適度に摂ることでは問題ないものの、
食べ過ぎは糖尿病や肥満のリスクを高める、
という意見もあります。

しかし、たとえば2020年のBMC Medicine誌の論文では、
果物を沢山摂るほど、
腸内細菌叢の多様性が増し、
結果として糖尿病の予防効果が認められた、
というデータが報告されています。
https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-020-01842-0

つまり、糖質やカロリーは決して少なくなくても、
果物を多く摂ることで代謝の悪化には結びつかない、
という意見もあるのです。

それではドライフルーツの摂取と糖尿病との関連はどうなのでしょうか?

今回の研究ではドライフルーツの摂取と関連する、
遺伝子多型の解析を利用して、
メンデル遺伝子解析という手法を用いて、
ドライフルーツの摂取と糖尿病リスクとの関連を検証しています。

逆分散加重法という手法を用いて解析したところ、
ドライフルーツの摂取が1日1.275単位増加する毎に、
2型糖尿病の発症リスクが60.8%(95%CI:0.241から0.636)、
有意に低下していることが確認されました。

これは生活習慣を遺伝子多型で推測するという、
ちょっと特殊な解析法なので、
これだけでドライフルーツに糖尿病予防効果がある、
とは言い切れませんが、
これまでのデータの蓄積から考えて、
果物やドライフルーツの摂取は、
糖尿病のリスク低下に結び付く可能性が高いと、
そう考えても大きな間違いはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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