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2型糖尿病治療薬と認知症リスク(2024年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日ですが、
クリニックは夏季の休診中です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
糖尿病治療薬と認知症リスク.jpg
American Journal of Preventive Medicine誌に、
2024年5月3日付で掲載された、
2型糖尿病の治療薬と認知症リスクについての論文です。

2型糖尿病は全身の血管を障害する病気で、
心血管疾患や網膜症、腎症など、
多くの合併症の存在が知られています。

そのうち、これまであまり強調されることがなかったものの、
最近になってそのリスクが指摘されることが多くなっているのが、
糖尿病と認知症との関連です。

糖尿病の患者さんにおいては、
認知症のリスクが増加していることを示す、
多くの疫学データが存在しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27660698/

その正確な原因は不明ですが、
インスリン抵抗性に伴う高インスリン血症が、
血液脳関門を通過して脳神経細胞に影響を与え、
脳神経細胞の変性と脱落に結び付く、
というように考えられています。

2型糖尿病には多くの治療薬が使用され、
新薬も開発されていますが、
そうした薬物治療が認知症リスクに与える影響については、
あまり明確なことが分かっていないのが実際です。

そこで今回の研究では、
新規の2型糖尿病治療薬の使用開始と、
その後の認知症リスクとの関連についての、
これまでの精度の高い臨床データをまとめて解析し、
その比較を行うネットワークメタ解析という手法で、
この問題の検証を施行しています。

これまでの16の臨床研究に含まれる、
トータルで1565245名の患者データをまとめて解析したところ、
経口糖尿病治療薬であるSU剤との比較において、
メトホルミンは47%(95%CI:0.44から0.63)、
SGLT2阻害剤は59%(95%CI:0.25から0.66)、
認知症のリスクがそれぞれ有意に低下していました。

他の合併症とほぼ同じように、
従来からの第一選択薬であるメトホルミンと、
最近非常に評価の高い薬剤であるSGLT2阻害剤が、
認知症リスクを抑制する観点からも、
最も効果の期待出来るは薬剤であると言って良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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