公共の場でのサージカルマスクの感染予防効果(2024年ノルウェーの疫学データ) [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は終日レセプト作業の予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
British Medical Journal誌に、
2024年7月24日付で掲載された、
サージカルマスクの感染予防効果についての論文です。
マスクによる感染予防の有効性については、
新型コロナのパンデミック時に色々な議論がありました。
呼吸器感染症の流行期に、
みんなでマスクを適切に装着することで、
感染拡大をある程度抑制する効果のあることは間違いがありません。
ただ、個別に自分がマスクをすることで、
どの程度感染を予防可能であるのか、
という点については、
必ずしも明確な科学的根拠がある訳ではありません。
マスクの効果は、
どちらかと言えば感染症で咳などをしている人が、
周辺への感染のリスクを防ぐことに、
その主眼があるからです。
たとえば2023年に発表されたメタ解析の論文では、
医療現場においても、一般の環境においても、
症状のない人がマスクをすることで、
呼吸器感染を予防する効果は、
確認はされるものの有効性は軽微なものに留まる、
という結果になっていました。
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M23-0570
ただ、こうした研究の多くは新型コロナのパンデミックの時期に行われていて、
実際には研究を厳密に行うことにはかなり限界があり、
データには多くのバイアスがあるという指摘もあります。
それでは通常の時期に人混みでマスクを装着することで、
どの程度呼吸器感染症を予防可能なのでしょうか?
今回の研究はノルウェーにおいて、
18歳以上の4647名の一般住民をくじ引きで2つの群に分けると、
一方は外出時の交通機関や買い物など、
不特定多数の人と接触する時には必ずマスクを装着し、
もう一方はマスクは使用せずに、
14日間を過ごして、
呼吸器感染の予防効果を比較検証しています。
試験は2023年の2月から4月に実施されています。
その結果、
経過中に咳や発熱などの呼吸器感染の症状が出現したのは、
マスク非使用群では12.2%に対して、
マスク使用群では8.9%で、
サージカルマスクの人混みでの使用は、
呼吸器感染のリスクを29%(95%CI:0.58から0.87)
有意に低下させていました。
今回の検証では、
人混みでのマスク使用には、
呼吸器感染症の予防に、
一定の有効性が確認されました。
こうしたデータを元にして、
現状は個別の判断で感染対策をして頂くのが、
妥当な対策であるように思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は終日レセプト作業の予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
British Medical Journal誌に、
2024年7月24日付で掲載された、
サージカルマスクの感染予防効果についての論文です。
マスクによる感染予防の有効性については、
新型コロナのパンデミック時に色々な議論がありました。
呼吸器感染症の流行期に、
みんなでマスクを適切に装着することで、
感染拡大をある程度抑制する効果のあることは間違いがありません。
ただ、個別に自分がマスクをすることで、
どの程度感染を予防可能であるのか、
という点については、
必ずしも明確な科学的根拠がある訳ではありません。
マスクの効果は、
どちらかと言えば感染症で咳などをしている人が、
周辺への感染のリスクを防ぐことに、
その主眼があるからです。
たとえば2023年に発表されたメタ解析の論文では、
医療現場においても、一般の環境においても、
症状のない人がマスクをすることで、
呼吸器感染を予防する効果は、
確認はされるものの有効性は軽微なものに留まる、
という結果になっていました。
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M23-0570
ただ、こうした研究の多くは新型コロナのパンデミックの時期に行われていて、
実際には研究を厳密に行うことにはかなり限界があり、
データには多くのバイアスがあるという指摘もあります。
それでは通常の時期に人混みでマスクを装着することで、
どの程度呼吸器感染症を予防可能なのでしょうか?
今回の研究はノルウェーにおいて、
18歳以上の4647名の一般住民をくじ引きで2つの群に分けると、
一方は外出時の交通機関や買い物など、
不特定多数の人と接触する時には必ずマスクを装着し、
もう一方はマスクは使用せずに、
14日間を過ごして、
呼吸器感染の予防効果を比較検証しています。
試験は2023年の2月から4月に実施されています。
その結果、
経過中に咳や発熱などの呼吸器感染の症状が出現したのは、
マスク非使用群では12.2%に対して、
マスク使用群では8.9%で、
サージカルマスクの人混みでの使用は、
呼吸器感染のリスクを29%(95%CI:0.58から0.87)
有意に低下させていました。
今回の検証では、
人混みでのマスク使用には、
呼吸器感染症の予防に、
一定の有効性が確認されました。
こうしたデータを元にして、
現状は個別の判断で感染対策をして頂くのが、
妥当な対策であるように思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2024-07-31 07:18
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コメント(2)
初めましてm(__)m
全く関係ないコメントで申し訳ありません
息子のCK値について調べていたらこちらのブログを拝見したどり着きました
急な痙攣で緊急入院している息子ですが、当日CK2500、翌日6000,本日12000とCK値が下がらず上昇している状況です
風邪薬を定量以上飲んでしまったことも原因かもしれないのですが、担当医の話しではこれだけではないと聞いています
CT.MRIは正常、本人も筋肉痛くらいで元気な状態です
腎臓に影響があるかもしれないので、下がるまで油断できないと言われ、これまで高い数値が見たことがないと言われてしまいました
何か思いつく例などありましたら教えていただけますでしょうかm(__)mm(__)mm(__)m
by 小林 (2024-07-31 11:50)
小林様
息子さんご心配なことと思います。
コメントの情報だけで軽率なことは言えないことを、
ご了承頂きたいのですが、
今の時期状況によっては、
熱中症の関与など疑われるところかと思います。
痙攣の再発などがなくお元気な状態であれば、
腎機能や電解質などに留意しつつ、
当面経過をみるのが最善であるように考えます。
12000程度のCKは、
これまでにクリニックでも経験があり、
その多くは筋トレなどによる一時的な上昇で、
その後改善をしています。
痙攣がどのようなものであったかにもよりますが、
痙攣とCK上昇との間に関連があるかどうかが、
もう1つの問題であるように思います。
経過をみて、その後に今後の検査方針などを決める、
という対応で問題はないのではないでしょうか。
by fujiki (2024-08-03 07:36)