「フェイブルマンズ」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
2022年製作のスピルバーグの自伝的な新作が、
今ロードショー公開されています。
これはありがちな、
功成り名遂げた人の自己満足的な自伝なのかしら、
というような印象であったので、
どうしようかなあ、と思っていたのですが、
もうすぐに終わってしまいそうな感じであったので、
迷った上で観ることにしました。
もう殆どの映画館で、
1日1回くらいしか上映していません。
でも、これはなかなか良かったですよ。
スピルバーグの映画は、
監督作は多分4分の3くらい観ていると思いますが、
今のところ一番好きな映画です。
これね、若きスピルバーグの映画との出会いを描いたように言われ、
確かにそうした作品ではあるのですが、
それ以上に彼の母親を描いた映画なんですね。
藝術家肌で、ある種の狂気を秘めていて、
それを爆発させて家を出てしまうのですが、
その存在が少年スピルバーグに与えた強烈な影響を、
非常に生々しく赤裸々に描いているのです。
また演じたミシェル・ウィリアムスが、
見事な演技でその強烈な個性を、
画面に立ち上がらせています。
それでいてこの映画を観ると、
これまでスピルバーグが監督した作品の全てが、
どのように生まれたのかが分かるように出来ているんですね。
全ての映画のエッセンスが詰め込まれていて、
その「種」のようなものが描かれているのですが、
ああそうか、この感情がこうした映画を生み出したのね、
ということがリアルに分かります。
描写や演出も決して枯れた感じではなくて、
スピルバーグの演出技巧の粋のようなものが贅沢に詰まっています。
たとえば、お母さんの伯父さんが出て来て、
藝術家の宿命のようなものを語るのですが、
演じたジャド・ハーシュも見事な芝居でしたが、
あれはスピルバーグの演出が凄いんですよね。
強烈に印象に残る場面になっています。
ともかく、スピルバーグの全てが詰まった1作で、
僕はこれまでに観たスピルバーグの作品の中で、
最も面白く、最も感動し、最もその技巧に感心した1本です。
これ、アカデミー作品賞の候補になったでしょ。
どう考えたって「エブエブ」より優れた映画ですよね。
少なくとも、アカデミー賞により相応しい作品でしょ。
でも、どんなに出来が今一つでも、
アジア人のキャストを集めた、
今風のごった煮映画の方に賞を獲らせるんですね。
勿論今更スピルバーグでもないのでしょうが、
どう考えても質が高い作品があるのに、
それには賞を獲らせないというのは、
何か釈然としないものを感じてしまいます。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
2022年製作のスピルバーグの自伝的な新作が、
今ロードショー公開されています。
これはありがちな、
功成り名遂げた人の自己満足的な自伝なのかしら、
というような印象であったので、
どうしようかなあ、と思っていたのですが、
もうすぐに終わってしまいそうな感じであったので、
迷った上で観ることにしました。
もう殆どの映画館で、
1日1回くらいしか上映していません。
でも、これはなかなか良かったですよ。
スピルバーグの映画は、
監督作は多分4分の3くらい観ていると思いますが、
今のところ一番好きな映画です。
これね、若きスピルバーグの映画との出会いを描いたように言われ、
確かにそうした作品ではあるのですが、
それ以上に彼の母親を描いた映画なんですね。
藝術家肌で、ある種の狂気を秘めていて、
それを爆発させて家を出てしまうのですが、
その存在が少年スピルバーグに与えた強烈な影響を、
非常に生々しく赤裸々に描いているのです。
また演じたミシェル・ウィリアムスが、
見事な演技でその強烈な個性を、
画面に立ち上がらせています。
それでいてこの映画を観ると、
これまでスピルバーグが監督した作品の全てが、
どのように生まれたのかが分かるように出来ているんですね。
全ての映画のエッセンスが詰め込まれていて、
その「種」のようなものが描かれているのですが、
ああそうか、この感情がこうした映画を生み出したのね、
ということがリアルに分かります。
描写や演出も決して枯れた感じではなくて、
スピルバーグの演出技巧の粋のようなものが贅沢に詰まっています。
たとえば、お母さんの伯父さんが出て来て、
藝術家の宿命のようなものを語るのですが、
演じたジャド・ハーシュも見事な芝居でしたが、
あれはスピルバーグの演出が凄いんですよね。
強烈に印象に残る場面になっています。
ともかく、スピルバーグの全てが詰まった1作で、
僕はこれまでに観たスピルバーグの作品の中で、
最も面白く、最も感動し、最もその技巧に感心した1本です。
これ、アカデミー作品賞の候補になったでしょ。
どう考えたって「エブエブ」より優れた映画ですよね。
少なくとも、アカデミー賞により相応しい作品でしょ。
でも、どんなに出来が今一つでも、
アジア人のキャストを集めた、
今風のごった煮映画の方に賞を獲らせるんですね。
勿論今更スピルバーグでもないのでしょうが、
どう考えても質が高い作品があるのに、
それには賞を獲らせないというのは、
何か釈然としないものを感じてしまいます。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2023-03-25 07:10
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