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尿路結石小結石同時切除の再発予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

ちょっとバタバタしておりまして、
ブログの更新をお休みしていました。
また再開しますのでよろしくお願いします。

今日は金曜日なのでクリニックは休診です。
明日土曜日は代診で診療の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
尿路結石小結石同時切除の再発予防効果.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2022年8月11日掲載された、
尿路結石の治療についての論文です。

尿路結石症は腎臓から尿管、膀胱、尿道に繋がる尿路に、
カルシウムなどを含む結石が出来る病気です。

腎臓にある小さな結石は通常は無症状ですが、
大きな石が尿管に落ちて詰まると、
激しい痛みの発作が起こります。

こうした発作を起こす結石は治療が必要で、
状況や結石の性質に応じて、
衝撃波により結石を砕いて流してしまう治療や、
内視鏡を挿入して結石を砕いて取り出す治療などが行われます。

内視鏡的な治療の場合、
通常取り出すのは尿管を詰まらせている、
症状の原因となっている結石のみですが、
腎臓にある無症状の小さな結石を、
同時に排石した方が良いのでは、
という意見があります。

ある報告によると、
こうした無症状の小結石を放置することにより、
手術後5年で約半数の事例で結石の発作の再発が起こった、
と指摘されています。

ただ、実際に手術時に小結石を同時に除去すると、
その再発が予防されたとする、
精度の高い臨床データはこれまでに存在していません。

そこで今回の研究ではアメリカの複数施設において、
有症状の尿路結石の患者さんをくじ引きで2つの群に分けると、
一方は原因以外の6ミリ以下の小結石も同時に除去し、
もう一方は原因の結石のみの治療を施行して、
その後平均4.2年の経過観察を行っています。
対象は通常治療群が35名で小結石の治療を追加した治療群が38名です。

その結果、
観察期間中の結石による痛みの発作の再発は、
小結石の治療を行わないと63%に発症したのに対して、
小結石の治療も同時に行うと、
16%の再発に留まっていて、
小結石の治療を同時に行うことにより、
再発率は82%(95%CI:0.07から084)有意に低下していました。
小結石の治療を追加することにより、
当然手術時間は長くなりますが、
そのことによる合併症や有害事象の増加は、
有意には認められませんでした。

このように、
尿路結石の発作を起こしたような患者さんでは、
原因となった結石以外に、
その時点では無症状の小結石の除去も同時に行うことにより、
少なくとも5年程度の予後は確実に良くすることが明らかで、
今後こうした知見をもとにして検証が重ねられ、
それが尿路結石の実際の治療に反映されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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氷見

先生のブログをいつも楽しみに拝見しております。
本当に大変なお忙しさと思いますが,どうかご無理のないようにお過ごしください。
by 氷見 (2022-08-12 10:16) 

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