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新型コロナウイルス感染症の味覚嗅覚障害の回復率 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COVID-19の味覚嗅覚障害.jpg
British Medical Journal誌に、
2022年7月27日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の味覚嗅覚障害について、
その回復率を検証したメタ解析の論文です。

味がしなくなる、匂いが分からない、
というような味覚嗅覚障害は、
通常の感冒においても認められることはありますが、
新型コロナウイルス感染症において、
非常に多く認められることが指摘されています。

ただ、その詳細についてはまだ明らかでない点が多く、
オミクロン株の流行以降は、
味覚嗅覚障害の発症頻度は減っているという報告もあり、
確かに診療においてもそうした印象は持っていますが、
実証された事項ではありません。

今回の研究はこれまでの臨床データをまとめて解析した、
メタ解析によるものですが、
味覚嗅覚障害それぞれの頻度と、
その回復に掛かる時間を検証しています。

18の臨床研究に含まれる3699名の患者情報を解析したところ、
嗅覚障害は感染者の5.6%に、
味覚障害は4.4%に認められました。
その30日後、60日後、90日後、180日後の回復率は、
嗅覚障害が74%、86%、90%、96%で、
味覚障害が79%、88%、90%、98%でした。

どのような患者が回復しづいらいのかを見てみると、
女性、障害の程度が重い場合、鼻閉を伴う場合に、
回復しづらい傾向が認められました。

このように、味覚嗅覚障害の多くは経過と共に回復しますが、
半年経過後も回復が見られないケースもあり、
今後その有効な治療法の開発を含めて、
対応が急務であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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