2型糖尿病の血圧目標値は? [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
the Lancet Diabetes & Endocrinology誌に、
2022年7月22日ウェブ掲載された、
2型糖尿病に合併した高血圧の治療方針についての論文です。
2型糖尿病はそれ自体が動脈硬化の大きなリスクで、
脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患も高い頻度で発症します。
高血圧も心血管疾患のリスクで、
そのため2型糖尿病に合併した高血圧は、
より高い心血管疾患のリスクであると考えられています。
そこで通常の高血圧治療と比較して、
2 型糖尿病の患者さんではより軽症の段階から治療を開始し、
その降圧目標も、
通常より低く設定することが推奨されて来ました。
ただ、最近それに対して否定的な見解も、
大規模な臨床試験結果で得られています。
厳格な血圧コントロールを2型糖尿病の患者に施行しても、
心血管疾患のリスク低下は、
通常コントロールに勝ることはなかったのです。
今回の研究はこれまでの介入試験の結果を,
まとめて解析したメタ解析ですが、
51の臨床研究に含まれる358533名の患者データをまとめて解析したところ、
中間値で4.2年の観察期間において、
高血圧の患者が収縮期血圧を5mmHg低下させることにより、
2型糖尿病でない場合には心血管疾患の相対リスクは、
11%(95%CI:0.87から0.92)有意に低下していた一方で、
2型糖尿病の患者では、
相対リスクの低下は6%(95%CI:0.91から0.98)の低下に留まっていました。
つまり、2型糖尿病の患者では、
そうでない場合より、
高血圧の治療による心血管疾患の予防効果が、
得られにくいという結果です。
この糖尿病の有無による高血圧治療の予防効果の差は、
治療前の血圧値や降圧剤の違いにより影響はされていませんでした。
ただ、これを絶対リスクで比較した場合には、
有意な差は認められませんでした。
この結果の判断は微妙ですが、
糖尿病では降圧治療による心血管疾患の予防効果は弱いことが、
間違いのない事実であれば、
矢張り糖尿病のある場合とない場合で、
降圧治療の目標ややり方も、
自ずと違うことが適切であると考えられます。
今後こうした知見を基にして、
糖尿病における降圧治療の基準が、
再検討されることを期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
the Lancet Diabetes & Endocrinology誌に、
2022年7月22日ウェブ掲載された、
2型糖尿病に合併した高血圧の治療方針についての論文です。
2型糖尿病はそれ自体が動脈硬化の大きなリスクで、
脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患も高い頻度で発症します。
高血圧も心血管疾患のリスクで、
そのため2型糖尿病に合併した高血圧は、
より高い心血管疾患のリスクであると考えられています。
そこで通常の高血圧治療と比較して、
2 型糖尿病の患者さんではより軽症の段階から治療を開始し、
その降圧目標も、
通常より低く設定することが推奨されて来ました。
ただ、最近それに対して否定的な見解も、
大規模な臨床試験結果で得られています。
厳格な血圧コントロールを2型糖尿病の患者に施行しても、
心血管疾患のリスク低下は、
通常コントロールに勝ることはなかったのです。
今回の研究はこれまでの介入試験の結果を,
まとめて解析したメタ解析ですが、
51の臨床研究に含まれる358533名の患者データをまとめて解析したところ、
中間値で4.2年の観察期間において、
高血圧の患者が収縮期血圧を5mmHg低下させることにより、
2型糖尿病でない場合には心血管疾患の相対リスクは、
11%(95%CI:0.87から0.92)有意に低下していた一方で、
2型糖尿病の患者では、
相対リスクの低下は6%(95%CI:0.91から0.98)の低下に留まっていました。
つまり、2型糖尿病の患者では、
そうでない場合より、
高血圧の治療による心血管疾患の予防効果が、
得られにくいという結果です。
この糖尿病の有無による高血圧治療の予防効果の差は、
治療前の血圧値や降圧剤の違いにより影響はされていませんでした。
ただ、これを絶対リスクで比較した場合には、
有意な差は認められませんでした。
この結果の判断は微妙ですが、
糖尿病では降圧治療による心血管疾患の予防効果は弱いことが、
間違いのない事実であれば、
矢張り糖尿病のある場合とない場合で、
降圧治療の目標ややり方も、
自ずと違うことが適切であると考えられます。
今後こうした知見を基にして、
糖尿病における降圧治療の基準が、
再検討されることを期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2022-07-27 06:02
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