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新型コロナの再感染はどのくらい危険なのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

施設や学校、保育園などでは、
今は毎週のように職員や入所者、
学生や園児などの感染者が出て、
その都度隔離し検査をし経過をみるという、
エンドレスで疲弊する状況が続いています。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナ再感染のリスク.jpg
これはResearch Squareという、
まだ査読前の論文を公開しているサイトに、
2022年6月17日にポスティングされた論文です。

内容はしっかりしたものですが、
まだ他の専門家による検証などは、
されていないと言う点には注意が必要です。

今オミクロン株の亜種の感染が猛威を振るっていますが、
そこでこれまでになく多いのが、
以前既に新型コロナウイルス感染症に罹っている人が、
再度感染してしまう再感染です。

今回の流行においては、
昨年のデルタ株以前の時期に感染した人は勿論、
今年の初めにオミクロンのBA.1株に感染した人も、
今再度感染しているという状況が見られています。
現状流行しているウイルスには、
これまでの感染による人間の免疫を、
かなり回避してしまう性質があるようなのです。

それでは、初感染と再感染で、
その合併症や予後に何か違いはあるのでしょうか?

今回の検証はアメリカの退役軍人の健康データベースを活用して、
初感染の257427名を、
2回以上の感染の38926名と、
感染していない5396855名と比較して、
その感染後半年の時点の予後を、
検証しているものです。
初回と2回目の感染の間隔の中央値は79日で、
2回の感染事例が多いですが、
中には4回以上の再感染の事例も報告されています。
2020年3月1日から2021年9月4日の初感染を起点として、
調査がされているので、
デルタ株の流行期までの期間が設定されています。

初感染時と比較して再感染時には、
その後6か月の総死亡のリスクは、
2.14倍(95%CI:1.97から2.33)有意に増加していました。
また入院のリスクにいても、
2.98倍(95%CI:2.83から3.12)有意に増加していました。
心血管疾患などの内臓疾患についても、
再感染時にはその発症や悪化が、
より多く認められていました。
ワクチン接種の回数と予後との間には、
明確な差は認められませんでした。

こうしたデータより論文の著者らは、
新型コロナウイルス感染症の再感染は、
初感染時より再感染で患者の受けるダメージはより大きく、
予後も悪化しているので、
今後の対策として再感染予防がより重要である、
とまとめています。

ただ、本当にこのデータからそう言えるかはちょっと疑問です。

調査時期には初期のウイルス株から、
より感染力が高く重症化リスクも高いとされるデルタ株に、
切り替わった時期が重なっていますから、
再感染が重症化しやすいのではなく、
デルタ株が重症化しやすかった、
という可能性が否定できません。
それほど厳密に時期を分けて、
データが検証されているとは言えないからです。

また再感染までの期間が非常に短いことも疑問です。
中間値が3か月未満ということになると、
治癒した後も遺伝子検査の陽性が、
3か月程度続くことは稀ではないので、
再感染ではなく持続的な遺伝子検査の陽性事例が、
そこに混同されている可能性も否定は出来ません。

従って、この問題はより厳密な検証が、
なされる必要があると思いますが、
いずれにしてもこれだけこの病気が、
再感染を繰り返すことが分かった以上、
再感染のリスクの検証が急務であることは、
間違いがないように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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