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間欠的絶食の新型コロナウイルス感染症重症化予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
間欠的絶食のコロナ感染への有効性.jpg
BMJ Nutrition , Prevention & Health誌に,
2022年7月1日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の重症化予防に対する、
間欠的絶食の有効性についての論文です。

定期的に24時間の絶食を繰り返すという間欠的絶食は、
アメリカではモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)と呼ばれる宗教の信者が、
1か月のうちの決まった日に絶食することを、
宗教的な習慣としていることから、
一般にも知られている生活習慣です。

1か月に一度ですから、
左程頻回という訳ではないのですが、
こうした習慣を持つことで身体の代謝の状態が変わり、
それが多くの健康効果を持つことが指摘されています。
より高頻度に週に1回の24時間絶食を繰り返した、
臨床試験のデータも発表されていて、
多くの健康効果が確認されています。
その中には感染症に対する予防効果も含まれています。

新型コロナウイルス感染症についてみると、
絶食中のケトン体の増加に伴い、
血液中のリノール酸を含む脂肪酸の濃度が上昇します。
このリノール酸はACE2と競合して、
新型コロナウイルスのスパイク蛋白に結合し、
結果としてウイルスの細胞への接着を、
妨害する効果が期待されます。
それ以外にも間欠的絶食は自然免疫を活性化するような作用も、
実験レベルでは指摘されていて、
新型コロナウイルス感染症の重症化予防に、
有効な可能性が期待されるのです。

今回の研究はアメリカのユタ州において、
心臓のカテーテル検査を施行した患者の疫学データを活用して、
間欠的断食の生活習慣と、
新型コロナウイルス感染症の重症化との関連を検証しているものです。

新型コロナウイルス感染症に罹患した205名を、
定期的な間欠的断食習慣のある73名と、
そうした習慣のない132名に分けて、
その予後に比較しています。

間欠的残時期習慣のある対象者の多くは、
モルモン教徒(末日聖徒イエス・キリスト教会)で月に1回の断食をしており、
平均で40年を超える断食習慣がありました。

ここで新型コロナウイルス感染症で入院もしくは死亡したのは、
間欠的断食習慣のある人の11.0%だったのに対して、
断食習慣のない人の28.8%で、
他の重症化のリスク因子を補正した結果、
間欠的断食習慣により、
新型コロナウイルス感染症の重症化リスクは、
39%(95%CI:0.42から0.90)有意に低下していました。

一方で検査陰性者との比較において、
間欠的断食習慣の、
新型コロナウイルス感染そのものの予防効果は、
有意には認められませんでした。

これはモルモン教徒の他の生活習慣が、
影響した可能性もありますから、
必ずも絶食のみの効果ではない可能性がありますが、
間欠的絶食の有効性はメカニズム的にも示唆されていますから、
少なくとも無理のない間隔で絶食を習慣にすることは、
健康上のメリットがあると考えて良いように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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