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モデルナワクチンのオミクロン株への有効性(カナダの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日なのでクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
モデルナワクチンのオミクロン株への有効性.jpg
British Medical Journal誌に、
2022年7月6日ウェブ掲載された、
オミクロン株に対するモデルナワクチン、
4回目接種の有効性についてのカナダからの報告です。

オミクロン株の流行が急拡大しています。
クリニックでも夏風邪のような症状の患者さんで、
8割以上はRT-PCR検査が陽性という状況です。

今回の感染急拡大が深刻なのは、
気を付けている人はもう充分可能な感染対策はしている状況で、
これまでより遙かに感染力の高い変異株が、
感染の主体になっているということと、
これまで高い有効性が確認されていたmRNAワクチンが、
現行流行しているオミクロン株に関しては、
感染予防効果はあまり期待出来ず、
重症化予防の効果しか認められない可能性が高い、
ということにあります。

それでは実際に4回目のワクチン接種を行なうかどうかで、
重症化予防効果はどの程度認められるのでしょうか?

今回の疫学データはカナダのオンタリオ州において、
介護施設に入所する60歳以上の高齢者、
トータル61344名を解析し、
遺伝子検査で確定したオミクロン株の感染者と、
ワクチン接種との関連を検証しています。

ワクチン接種はこの集団では、
95%がモデルナ社ワクチンが使用されています。

その結果、
この60歳以上の集団においては、
ワクチン3回目接種後84日以上と比較して、
4回目接種7日目以降のワクチンのオミクロン株に限定した有効率は、
感染自体の予防効果としては19%(95%CI:12から26)、
有症状感染の予防効果としては31%(95%CI:20から41)、
重症化予防効果としては40%(95%CI:24から52)、
と算出されています。

ワクチン未接種と比較した、
4回接種後のオミクロン株に限定した有効率は、
感染自体の予防効果としては49%(95%CI:43から54)、
有症状感染の予防効果としては69%(95%CI:61から76)、
重症化予防効果としては86%(95%CI:81から90)、
と算出されています。

このようにオミクロン株に対しても、
ワクチン未接種と比較すれば高い重症化予防効果は認められていますが、
感染予防効果としてはかなり限定的な効果しかなく、
これはまだ初期のオミクロン株での話で、
今日本で流行拡大している変異株については、
より低い有効性しか得られないことは、
ほぼ間違いのないことのように思われます。

幸い現行のオミクロン株は概ね軽症で推移しているので、
通常の風邪と同様に考えて通常モード、
という選択肢も無視するべきではないと思いますが、
ba.5では重症肺炎が多いのでは、という見解もあり、
状況はまだ不明瞭な部分が多いのが実際です。
いずれにしても新型コロナウイルス感染症への対応は、
ワクチン接種が切り札という時期は過ぎ、
根本から再考するべき段階に至っているように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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