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帯状疱疹と認知症リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
帯状疱疹と認知症リスク.jpg
Neurology誌に2022年6月8日ウェブ掲載された、
帯状疱疹と認知症リスクの関連についての論文です。

帯状疱疹は水痘ウイルスの再活性化により起こる病気で、
皮膚の神経領域に帯状に湿疹が生じ、
強い神経痛を起こします。

最近間違いなく増えていることは、
クリニックの外来でも実感として感じていることですが、
その理由については新型コロナウイルス感染症との関連を、
指摘される方もいますが、
左程根拠があるようには思えず、
実際には不明です。

ウイルス感染症に罹患することが、
その後の認知症のリスクになるという考え方は以前からあり、
帯状疱疹との関連を指摘する知見もあります。
特に三叉神経領域への感染では、
直接脳神経に炎症が及んでいることから、
そのリスクを指摘する意見があります。

今回の研究は国民総背番号制を敷いているデンマークにおいて、
国レベルの医療データと処方データを解析することにより、
この問題の検証を行っているものです。

40歳以上の帯状疱疹患者トータル247305名を、
年齢などをマッチさせた感染歴のない1235890名と比較して検証したところ、
罹患後1年の認知症発症リスクは、
コントロールと比較して0.98倍(95%0.92から1.04)、
1年後以降では0.93倍(95%CI:0.90から0.95)で、
帯状疱疹罹患後1年以降の認知症発症リスクは、
むしろコントロールより低くなっていました。

今回の結果では、
帯状疱疹の罹患とその後の認知症発症との間には、
明確な関連は認められず、
むしろやや認知症のリスクを下げる可能性も示唆されました。

今回のデータは後から集計しただけのものなので、
因果関係を云々出来るものではありませんが、
これだけ多くの事例で検証した意義は大きく、
帯状疱疹と認知症との間には、
少なくとも強い関連はない、
と考えて現時点では大きな問題はないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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