メトホルミンの乳癌予後改善効果 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA誌に2022年5月24日掲載された、
乳癌の手術後の予後改善に与える、
メトホルミンの有効性についての論文です。
メトホルミン(商品名メトグルコなど)は、
2型糖尿病治療の第一選択薬の1つですが、
乳癌を含む癌の予後を改善する可能性を、
示唆するような疫学データが複数報告されています。
一部の臨床試験においては、
メトホルミンの使用により、
癌の細胞増殖能を反映すると考えられている、
核内のKi67という蛋白質の発現を抑制する、
というような知見が乳癌患者において報告されています。
ただ、メトホルミンは糖尿病の治療薬なので、
糖尿病の患者がそうした臨床研究には多く含まれており、
糖尿病自体の改善などの要素が、
その結果に影響しているという可能性を否定出来ません。
そこで今回の臨床試験では、
カナダ、スイス、アメリカ、イギリスの複数施設において、
遠隔転移はないものの再発リスクは高い、
手術後の乳癌患者トータル3649名を、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は通常治療に加えてメトホルミンを1日1700㎎使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
その後の経過を5年間観察しています。
対象者は糖尿病のない患者に限定されています。
その結果、
メトホルミンの上乗せは、
乳癌の予後に明確な影響を与えませんでした。
ホルモン受容体の有無など、
条件を変えての解析も施行されましたが、
それでも明確な差は確認されなかったのです。
今後この問題は再検証される必要があると思いますが、
現状糖尿病のない患者さんにおいては、
不特定の乳癌の患者さんに対して、
メトホルミンの使用に積極的な意味は乏しいと、
そう考えておいた方が良いようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA誌に2022年5月24日掲載された、
乳癌の手術後の予後改善に与える、
メトホルミンの有効性についての論文です。
メトホルミン(商品名メトグルコなど)は、
2型糖尿病治療の第一選択薬の1つですが、
乳癌を含む癌の予後を改善する可能性を、
示唆するような疫学データが複数報告されています。
一部の臨床試験においては、
メトホルミンの使用により、
癌の細胞増殖能を反映すると考えられている、
核内のKi67という蛋白質の発現を抑制する、
というような知見が乳癌患者において報告されています。
ただ、メトホルミンは糖尿病の治療薬なので、
糖尿病の患者がそうした臨床研究には多く含まれており、
糖尿病自体の改善などの要素が、
その結果に影響しているという可能性を否定出来ません。
そこで今回の臨床試験では、
カナダ、スイス、アメリカ、イギリスの複数施設において、
遠隔転移はないものの再発リスクは高い、
手術後の乳癌患者トータル3649名を、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は通常治療に加えてメトホルミンを1日1700㎎使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
その後の経過を5年間観察しています。
対象者は糖尿病のない患者に限定されています。
その結果、
メトホルミンの上乗せは、
乳癌の予後に明確な影響を与えませんでした。
ホルモン受容体の有無など、
条件を変えての解析も施行されましたが、
それでも明確な差は確認されなかったのです。
今後この問題は再検証される必要があると思いますが、
現状糖尿病のない患者さんにおいては、
不特定の乳癌の患者さんに対して、
メトホルミンの使用に積極的な意味は乏しいと、
そう考えておいた方が良いようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2022-05-31 06:05
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