岩松了「青空は後悔の証し」 [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前午後とも須田医師が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。

岩松了さんの新作が、
小泉今日子さんがプロデュースする、
株式会社明後日の企画公演として、
今世田谷シアタートラムで上演されています。
小泉今日子さんも舞台には毎日立ち会われているようで、
僕が観劇した時もいらっしゃいました。
昨年の「そした春になった」と似通ったスタイルで、
凄い絵空事的な設定なんですよね。
意図的に翻訳劇に近いような設定と演出で、
何か目標があってやっていることは分かるのですが、
未だ発展途上という感じもあります。
風間杜夫さんが引退した旅客機のパイロットで、
何かの病気の療養を兼ねて、
高層マンションなのか高級老人ホームなのか、
豪華で浮世離れした部屋で、
お手伝いさんの老女と暮らしているんですね。
大きな窓の向こうには、
エンパイアステートビルのような塔が、
建設途中であるのが見えます。
変でしょ。
とても日本とは思えないですよね。
でも、登場人物は日本人らしいのが得体の知れない感じです。
主人公の設定からして、
「スチュワーデス物語」なんですね。
かつて教え子だったスチュワーデスと、
再会しようとするのに出来ない、
という話になるんですね。
年を取った教官が堀ちえみさんと再会しようとするのですが、
堀ちえみさんの娘に邪魔されて出来ないのです。
ある意味非常に意地悪な設定に思えます。
まあドラマの教官は機長ではないのですが、
もともと小泉今日子さんが堀ちえみさんの役をやる予定だったので、
それも入れ込んだ設定になっているんですね。
要は最初から最後まで登場しないヒロインは、
舞台の外にいる小泉今日子さん、
というひねった設定になっている訳です。
それだけではなくて、
風間杜夫さんの息子が豊原功補さんで、
石田ひかりさんと結婚しているのですが、
すれ違いがあって、離婚してしまう、
という展開になるんですね。
小泉今日子さんがプロデュースのお芝居で、
こういう台本を書くんですよね。
岩松さんも相当ですよね。
これは単純に意地悪とは言えないのですが、
まあ普通ではないという言い方は出来ると思います。
どうやら窓の外に広がる空が、
風間さんのこれまでの人生を示している風景であるようなんですね。
その外の世界と室内とは繋がることはない筈なんですが、
途中で建築途中の塔の上に少女が出現し、
彼女が塔から飛び降りると、
風間さんの部屋の窓から中へと入り込み、
風間さんを挑発し誘惑するのです。
これをきっかけとして、
風間さんは隣の塔の建設差し止めの運動に協力するのですが、
結果として塔の工事は再開されてしまいます。
でも、隣の塔というのは、
要するに風間さんのいる部屋がある場所のことなんですね。
風間さんは自分の過去を変えようとして、
窓の向こうにある過去の世界に入り込むのですが、
それに失敗して老いた自分の現実に気付き、
愕然として終わるのです。
如何にも岩松さんらしい、
分かり難く、意地悪な世界ですが、
正直展開される人工的な世界に、
あまり馴染むことが出来ないままに終わってしまうのが、
少し残念な気はします。
個人的には「市ヶ尾の坂」のラストや、
「水の戯れ」のラストの衝撃的な美しさが、
一番の岩松さんの劇作の魅力だと思っているので、
最近の役柄も皆カタカナの、
敢えて非現実的で紙芝居的な設定の最近の作品には、
やや違和感は感じるのですが、
これもまた1つの別個の到達点に向けての、
長い試行錯誤の道程であるという気もするので、
今後も気合を入れつつ、
岩松さんの新作を待ちたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前午後とも須田医師が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。

岩松了さんの新作が、
小泉今日子さんがプロデュースする、
株式会社明後日の企画公演として、
今世田谷シアタートラムで上演されています。
小泉今日子さんも舞台には毎日立ち会われているようで、
僕が観劇した時もいらっしゃいました。
昨年の「そした春になった」と似通ったスタイルで、
凄い絵空事的な設定なんですよね。
意図的に翻訳劇に近いような設定と演出で、
何か目標があってやっていることは分かるのですが、
未だ発展途上という感じもあります。
風間杜夫さんが引退した旅客機のパイロットで、
何かの病気の療養を兼ねて、
高層マンションなのか高級老人ホームなのか、
豪華で浮世離れした部屋で、
お手伝いさんの老女と暮らしているんですね。
大きな窓の向こうには、
エンパイアステートビルのような塔が、
建設途中であるのが見えます。
変でしょ。
とても日本とは思えないですよね。
でも、登場人物は日本人らしいのが得体の知れない感じです。
主人公の設定からして、
「スチュワーデス物語」なんですね。
かつて教え子だったスチュワーデスと、
再会しようとするのに出来ない、
という話になるんですね。
年を取った教官が堀ちえみさんと再会しようとするのですが、
堀ちえみさんの娘に邪魔されて出来ないのです。
ある意味非常に意地悪な設定に思えます。
まあドラマの教官は機長ではないのですが、
もともと小泉今日子さんが堀ちえみさんの役をやる予定だったので、
それも入れ込んだ設定になっているんですね。
要は最初から最後まで登場しないヒロインは、
舞台の外にいる小泉今日子さん、
というひねった設定になっている訳です。
それだけではなくて、
風間杜夫さんの息子が豊原功補さんで、
石田ひかりさんと結婚しているのですが、
すれ違いがあって、離婚してしまう、
という展開になるんですね。
小泉今日子さんがプロデュースのお芝居で、
こういう台本を書くんですよね。
岩松さんも相当ですよね。
これは単純に意地悪とは言えないのですが、
まあ普通ではないという言い方は出来ると思います。
どうやら窓の外に広がる空が、
風間さんのこれまでの人生を示している風景であるようなんですね。
その外の世界と室内とは繋がることはない筈なんですが、
途中で建築途中の塔の上に少女が出現し、
彼女が塔から飛び降りると、
風間さんの部屋の窓から中へと入り込み、
風間さんを挑発し誘惑するのです。
これをきっかけとして、
風間さんは隣の塔の建設差し止めの運動に協力するのですが、
結果として塔の工事は再開されてしまいます。
でも、隣の塔というのは、
要するに風間さんのいる部屋がある場所のことなんですね。
風間さんは自分の過去を変えようとして、
窓の向こうにある過去の世界に入り込むのですが、
それに失敗して老いた自分の現実に気付き、
愕然として終わるのです。
如何にも岩松さんらしい、
分かり難く、意地悪な世界ですが、
正直展開される人工的な世界に、
あまり馴染むことが出来ないままに終わってしまうのが、
少し残念な気はします。
個人的には「市ヶ尾の坂」のラストや、
「水の戯れ」のラストの衝撃的な美しさが、
一番の岩松さんの劇作の魅力だと思っているので、
最近の役柄も皆カタカナの、
敢えて非現実的で紙芝居的な設定の最近の作品には、
やや違和感は感じるのですが、
これもまた1つの別個の到達点に向けての、
長い試行錯誤の道程であるという気もするので、
今後も気合を入れつつ、
岩松さんの新作を待ちたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2022-05-28 06:23
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