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夜勤を含む交代勤務と健康リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
シフト制勤務と生命予後.jpg
JAMA Network Open誌に、
2022年5月4日ウェブ掲載された、
夜勤を含む交代制勤務が健康に与える影響についての論文です。

夜勤と昼勤、早出、遅出などを不規則に繰り返す、
交代制勤務は、
医学的には健康面での悪影響が指摘されています。

夜勤を含む交代制勤務は、
正常なホルモンなどによる日内リズムを乱し、
睡眠障害や他の精神疾患、
認知機能低下、慢性内臓疾患などのリスクを高め、
生命予後にも悪影響を与えることが、
これまでの疫学研究などにより報告されています。
WHOの専門部会は、
発癌のリスクにもなり得るという報告もしています。

ただ、そうしたデータの多くは比較的短期間のもので、
長期の夜勤を含む交代勤務が、
その後の健康にどのような影響を与えるのかについては、
データは限られているのが実際です。

今回の研究はこうした交代勤務の職種として代表格でもある、
看護師の大規模出来学データを活用して、
夜勤を含む交代勤務の長期の影響を検証しています。

対象は46318名の女性看護師で、
24年という長期の健康観察を施行し、
70歳の時点で明確な記憶障害や身体障害がなく、
多くの慢性病にも罹患していない状態を健康な加齢として、
その頻度を比較検証しています。

その結果、
夜勤を含む交代勤務をしていない看護師に比較して、
10年以上そうした勤務をしていると、
健康な加齢の比率が21%(95%CI:0.69から0.91)有意に低下していました
それより短い勤務でもそうした傾向は認められましたが、
統計的には有意ではありませんでした。
ここで認知機能低下も健康な加齢の除外要素として検討すると、
10年以上の夜勤を含む交代勤務は、
健康な加齢の比率を27%(95%CI:0.60から0.89)、
有意に低下させていました。

このように、
短期的な影響ばかりでなく、
夜勤を含む交代勤務は、
健康長寿の阻害要因ともなっている可能性があり、
今後こうした勤務をどのように考え、
その健康への悪影響を、
どのようにして修正するべきなのか、
より深い議論が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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