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食事時間制限ダイエットの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
食事時間制限の有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2022年4月21日掲載された、
食事時間を制限するダイエットの有効性についての論文です。

肥満は心血管疾患など多くの病気のリスクとなり、
体重を適切に減らすことにより、
そのリスクの低減に繋がることも分かっています。

そのため、多くの減量法が開発されていますが、
科学的にその効果が立証されているものは、
実際にはあまり多くはありません。

摂取カロリーを制限する低カロリーのダイエットは、
その数少ない長期の有効性の確認されている減量法ですが、
その1年継続後の有効性は、
臨床試験においては体重の5%未満の低下にとどまっていて、
リバウンドも多いのが実際です。

そこでカロリー制限に組み合わせるダイエット介入として、
今回検討されているのが、
食事を摂る時間を制限するという方法です。
「夜食べると太る」というのは、
一般にも広く言われていることですが、
代謝の低下する夜間帯にカロリーを摂取し、
それから寝てしまうことは、
理屈から考えても、
体重増加の要因とはなりそうです。

ただ、実際にその影響が、
科学的に実証されているとは言えないのです。

今回の研究は中国において、
年齢は18から75歳、BMIが28から45で、
内臓疾患などはない139名をくじ引きで2つの群に分けると、
男性は1日1500から1800キロカロリー、
女性は1日1200から1500キロカロリーの低カロリーダイエットを施行すると共に、
一方の群では朝8じから午後4時までに食事の時間を制限し、
もう一方は特に食事時間の制限は行わずに、
12か月の経過観察を行っています。

その結果、
1年の時点での平均の体重減少は、
食事時間制限群で-8.0キログラム(95%CI:-9.6から-6.4)であったのに対して、
食事時間制限未実施群では-6.3キログラム(95%CI:-7.8から-4.7)で、
この差は検査の規定上、
有意なものではありませんでした。

つまり、夜は食べないような制限を加えても、
低カロリーダイエットの有効性には、
あまり差は見られなかった、と言う結果です。

この問題は簡単に結論が出るものではなく、
今後も検証が必要と考えられますが、
夜食べないダイエットの減量効果に限った有効性は、
現状科学的に確認されたものではない、
というように捉えておいて良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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