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オミクロン株の乳幼児感染の傾向 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オミクロン株の乳幼児のリスク.jpg
JAMA Pediatrics誌に2022年4月1日掲載されたレターですが、
5歳未満の新型コロナウイルス感染症の傾向を、
オミクロン株とデルタ株の流行時期で比較した内容です。

デルタ株と比較してオミクロン株の流行期には、
症状は明らかに軽症化しましたが、
その一方で乳幼児を主体とした感染は増加し、
デルタ株の流行時期にはあまりなかった、
保育園の休園などの事態が急増しています。

実際にクリニックにおいても、
感冒程度の症状の乳幼児で、
他院で「ただの風邪」という判断で検査もされず、
数日経ってから父親や母親が次々と発熱して、
検査をしたら新型コロナの家族内感染だった、
というようなケースを、最近は多く経験しています。

これは、デルタ株の流行時期など、
これまでの感染では見られなかった事態です。

そもそも新型コロナウイルスの乳幼児の感染は、
極めて稀だと考えられていた筈です。
しかし、オミクロン株の流行に至って、
状況は一変し小児、特に乳幼児が家庭に感染を持ち込み、
それで家族内感染が広がるという経路が、
今の感染拡大の1つのパターンとなっているのです。

それでは、実際にどの程度オミクロン株の乳幼児感染は、
それ以前の時期の感染と違いがあるのでしょうか?

今回の疫学データはアメリカにおいて、
5歳未満の新型コロナウイルス感染症患者トータル651640名を、
オミクロン株流行期の22772名と、
デルタ株流行期の2つの疫学データの66692名と10496名に分けて、
その罹患率を比較検証しています。

その結果デルタ株の流行期には、
新型コロナ感染の罹患率は、
乳幼児1日1000人当たり1.0から1.5件であったのに対して、
オミクロン株の流行期に入った2021年12月には
2.4から5.6件と増加していて、
2022年1つ前半には8.6件とピークに達していました。
つまり、デルタ株の流行期と比較して、
8倍以上に増加したということになります。
オミクロン株の感染は、
3から4歳と比較して0から2歳の方がより多く、
感染はより低年齢化した、と言うことが出来ます。
今回の3つの疫学データにおいて、
全てを併せても死亡者は10人に満たないレベルでした。

このように、
デルタ株の感染と比較してオミクロン株の感染では、
5歳未満の感染のリスクが明らかに高く、
より低年齢化が進行していることが確認されました。
どちらの流行時期においても、
乳幼児感染は同じように軽症でした。

従って、乳幼児の新型コロナウイルス感染は、
患者本人にとっては単なる風邪と違いはないのですが、
そこから家族内感染により感染が拡大することが、
オミクロン株の感染拡大の一因となっていると考えられました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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