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新型コロナ感染に伴うデング熱減少について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
終日レセプトなど事務作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
デング熱と新型コロナ.jpg
the Lancet Infectious Diseases誌に、
2022年3月2日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の流行が、
他のウイルス感染に与える影響についての論文です。

新型コロナの流行以来、
日本でもインフルエンザの冬の流行がめっきりなくなりました。

勿論コロナ重視の診療体制や検査体制で、
検査自体が減っている影響もない訳ではありませんが、
クリニックで検査をしていても、
ほぼほぼ陽性は出ませんし、
保育園や学校などでの流行や学級閉鎖もありませんから、
減少していること自体は間違いがありません。

これは世界的にも同様の傾向があり、
毎年のように流行を繰り返していたウイルス感染症が、
新型コロナの流行以降激減したという報告が多くあります。
その1つが今回のテーマであるデング熱です。

デング熱は、
蚊が媒介する熱帯から亜熱帯の出血熱の一種ですが、
日本脳炎などと比較すればその病状は軽く、
重症化も比較的稀な感染症です。
日本でも最近その流行が確認されています。

特別な治療はなく、
一旦流行するとその媒介する蚊の根絶は、
現実的には困難で、
ワクチンの開発なども進められてはいますが、
現状は決め手には欠けているのが実際です。

このデング熱も新型コロナの流行以降、
発生が減少していることが確認されています。

今回の研究はWHOなどのデータを基にして、
デング熱の減少とその原因を検証しているものです。

南東アジアと南アフリカのデング熱流行国23か国のデータを解析したところ、
2020年3月からデング熱の罹患率は激減し、
2019年には408万件から2020年には228万件と、
44.1%の減少が見られています。

その理由を天候などの要素も含めて解析したところ、
新型コロナの流行に伴う、
学校の閉鎖や地域をまたぐ移動の制限が、
最も強く影響をしていることが確認されました。
推計では、新型コロナによる感染対策の影響で、
年間72万件のデング熱が予防されたと計算されました。

要するに新型コロナで取られたような、
人間の行動を抑制するような対策により、
他の感染力の高いウイルス感染も、
抑止することが可能となるという結果です。

ただ、勿論移動せず接触を持たないことが、
人間にとって正しいあり方ということではなく、
今回の特殊な状況を科学的に解析することにより、
今後の多くの感染症の流行に対して、
わたし達はより実証的な予防法を、
社会活動とのバランスも考えた上で、
構築する下支えとなるデータを得ることが出来た、
というようにかんがえるべきではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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