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シベリア少女鉄道「どうやらこれ、恋が始まっている」(ネタバレ注意) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも須田医師が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
シベリア少女鉄道.jpg
オタク嗜好と演劇実験融合のパイオニア、
シベリア少女鉄道の本公演が先日まで、
六本木の俳優座劇場で上演されました。

いつも観てすぐに感想を書くことが多いのですが、
シベリア少女鉄道は基本ネタバレ厳禁なので、
上演は終了した後で公開しています。

僕は最初に観た作品は、
確かシアタートップスだったと思いますが、
何処が面白いのか分からない、という感じでした。
次の作品も、「何なのこれは」という感じだったのですが、
吉祥寺で上演された「残酷な神が支配する」を観て、
初めてその壮大なオチに驚嘆し、
ラストに虚無的に高速回転する無人の廻り舞台に、
これまでの演劇にない奇妙な悦楽を感じて、
それ以降はほぼ全ての公演に足を運んでいます。
途中で活動休止となった時は大いに落胆しましたが、
ほどなく活動再開して今に至っています。

昔は役者さんの演技レベルが物凄く低くて、
それで前半を耐えるのがキツイ、
という感じがありました。

ザックリでいつも1時間半の上演時間のうち、
前振りのシリアスなドラマ部分が1時間から1時間10分くらいあり、
後半の30分未満が壮大なオチになります。
一番技巧的に凝っていた時期には、
2つの仕掛けのあるダブルクライマックス仕様のものや、
「永遠かも知れない」のように、
コントを執拗に繰り出し続ける、
というような変化球もありましたが、
最近の作品はほぼほぼ、通常運転です。

以下少しネタバレがあります。

今回は近未来を舞台にしたシリアスなSFスリラー的ドラマがあり、
それが1時間くらい振りとして続いて、
そのあとで現代の古い日本家屋のアパートの一室に舞台は移り、
同じ「画面」に2つの世界がリンクして現れ、
最後は2つの世界が融合するように終わります。

これ、以前にサイコスリラーが、
後半になると格闘型ゲームに変化して、
サイコスリラーも同時進行するものの、
観客にはそのラストは理解出来ない、
というような作品があって、
その変奏曲というような感じでした。

ただ、以前の同様の作品と比較すると、
その演劇としてのクオリティは遥かに高くなっています。

前半のドラマ部分も、
真面目にスリラーとして観られるレベルですし、
後半への舞台転換の鮮やかさも特筆ものです。
その後は加工された映像のように、
部分的に別世界の話が進行するのですが、
2つの世界が次第に入り混じって来る辺りは、
シベリア少女鉄道以外では、
到底体感することの出来ない愉楽があります。

ネタの前半部分では、
舞台をテレビやスマホのモニターに見立てて、
臨時ニュースや天気、試合結果などの、
文字情報が入るというパートが用意されています。
ただ、あまりに情報量が多いので、
実際の舞台では捕捉は困難です。
それで配信も見たのですが、
それで漸く話が繋がった、
という感じでした。
各キャラの点数が試合のように表示されるというのは、
これも過去作を思い出させる趣向ですが、
後半に繋がるという訳ではないので、
やや肩透かしの感じはありました。

そうじて今回は完成度に力点を置いた、
シベリア少女鉄道としては水準作という感じでした。
面白いけれどちょっと小粒で焼き直し感はありますね。

でもいつもながらの唯一無二の世界はとても楽しく、
また次回の公演を心待ちにしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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