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ほりぶん 第9回公演「かたとき」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
夜はいつものようにRT-PCR検査の電話掛けに、
クリニックには行く予定です。
最近は休みの日もあまり家で寝ることがありません。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
かたとき.jpg
最近は芸人さんとの仕事も多い、
ナカゴーの異能の人、鎌田順也さんですが、
今回別ユニットのほりぶんの第9回公演は、
紀伊國屋ホール初進出で、
ゲストにはきたろうさん、又吉直樹さん、
猫背椿さんが加わるという豪華版です。

これは下町の祭りの夜を舞台にした、
13歳の少女を不審者から助けようとする、
警官と自警団と不審者との抗争を描いた物語ですが、
不審者にも一分の理はあり、
自警団も警官もそれなりにイカれているので、
当然まともな戦いになるということはなく、
ワンピースの女性陣はいつものように絶叫しつつの大暴れになりますし、
又吉さん演じる警官が、
同じことわざを大声でしつこくしつこく説明しまくるという、
とても又吉さんのキャラクターからは、
想像を絶する様な展開となります。

同じような連続する2夜の物語になっていて、
その繰り返しと微妙な差異が、
鎌田さんの作品としては、
古典的で端正な感じに仕上がっています。
まあ「ゴドーを待ちながら」のパターンですね。
インタビューで鎌田さんはカルトホラー「マグノリア」が大好きと言っていて、
そうそうあれは確かにナカゴー的な怪作だよね、
と思いましたが、
そうした奇怪さやグロテスクさは今回の作品にはなく、
鎌田さんの最近の傾向として、
かなりウェルメイドな仕上がりとなっています。
かつての「野鳩」にかなり似て来たな、
という感じもします。

中劇場の空間は結構巧みに使っていました。
最初に登場人物がずらりと並んで、
物語のあらすじを説明してしまうという、
普通に考えると「そんなことしなくていいのに」という趣向も、
いつもながらにあって、
でも結構贅沢な絵面になるので悪くありませんでした。
いつもはセットもなく照明効果なども殆どない、
という即席感の強い舞台でしたが、
今回はちゃんと夜店と盆踊りの屋台のセットがあり、
音響や照明の効果もプロが仕事をしているという感じです。

ただ、鎌田さんのかつてのシュールでグロテスクで、
とんでもなく非常識な感じを知っている者としては、
この上品な世界は矢張りちょっと物足りない、
という感じは否めません。
でも今後は貴重なコント作家の1人として、
吉本絡みのお仕事が増えてゆくような気もしますね。
それで成功して生活も安定するのであれば、
良いことのようにも思いますし、
小劇場の暴れん坊の感じが、
失われてゆくのはちょっと悲しいような気もします。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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