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両側卵管卵巣摘出術後の生命予後 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
両側子宮卵巣摘出術の生命予後.jpg
British Medical Journal誌に、
2021年12月8日ウェブ掲載された、
以前は良性疾患で施行されることの多かった、
両側の卵巣と卵管を摘出する手術が、
その予後に与える影響についての論文です。

「子宮筋腫で子宮と卵巣を一緒に取りました」
という話は中高年の女性の方からは、
以前は良く聞く話でした。

以前は卵巣がその後癌化するリスクを重視して、
子宮を摘出する際には、
両側の卵巣と卵管を切除することが、
比較的スタンダードな方法であったのです。

ただ、卵巣癌リスクが切除により低下することは事実ですが、
45もしくは50歳未満での両側卵管卵巣切除は、
その後の総死亡のリスクを増加させるという観察研究の知見が、
複数報告されてから、
卵巣は極力保存することが一般的になっていったのです。

今回の研究はカナダのオンタリオ州において、
良性疾患で子宮の切除を行なった、
30から70歳の200549名の女性を中間値で12年観察し、
その手術時の年齢と卵巣卵管切除の有無、
そしてその予後を比較検証しています。

その結果、
子宮摘除術を施行した女性のうち、
手術時45歳未満の19%、45から49歳の41%、
50から54歳の69%、55歳以上の81%が、
両側の卵巣卵管摘出術を施行されていました。
両側の卵巣卵管摘出術は、卵巣を温存した場合と比較して、
45歳未満では総死亡のリスクが1.31倍(95%CI:1.18から1.45)、
45から49歳では1.16倍(95%CI:1.04から1.30)それぞれ有意に増加していました。
一方で50歳以上の年齢層では、
有意なその後の死亡リスクの増加は認められませんでした。
この死亡リスク増加の主体は、
癌以外によるものでした。

このように、
閉経前の年齢における良性疾患の子宮摘出時の、
両側卵巣卵管摘出術は、
その後の総死亡のリスクに繋がる可能性が高く、
卵巣温存を積極的に考えるべきであると考えられました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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