SSブログ

オミクロン株流行の臨床的特徴(南アフリカの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オミクロン株の傾向.jpg
JAMA誌に2021年12月30日ウェブ掲載された、
今日本でも急増している、
新型コロナのオミクロン株の臨床的傾向についての、
南アフリカからの報告です。

これはレターなので、
通常の論文より速報性の高いものですが、
それでも手続きや検証を経ての発表なので、
一般の報道と比べるとどうしても後手に廻る感じは否めません。
内容もまっとうなものではあるのですが、
やや今更感のあるのは仕方のないところです。

オミクロン株(B1.1.529)は、
2021年11月24日に南アフリカにおいて同定され、
その第4波と呼ばれる流行は2021年11月中旬から始まって、
12月に入ると新型コロナウイルス感染の95%は、
オミクロン株によるものと推測されています。

今回の検証はそれ以前の1から3波の流行(3波の主体はデルタ株)と、
第4波の流行(解析は2021年11月15日から12月7日)の違いを比較したものです。

第4波の調査期間における入院数は2351名で、
そのうち救急病棟への入室は41.3%でした。
これはそれまでの3つの流行時期には68から69%であったことと比較すると、
明らかに重症の比率は低下しています。
ただ、救急病棟への入院の基準は、
流行の時期によっても違いがあるので、
必ずしもオミクロン株で重症患者が少ないとは、
この数字だけでは言い切れません。

オミクロン株の流行期に入院した患者は、
年齢は中央値で36歳と若く、
女性の比率がそれ以前より高くなっていました。
基礎疾患のある患者の比率は、
第3波までは50%を超えていましたが、
オミクロン株の流行期では23.3%という低率になっていて、
第3波のまでの時期には、
呼吸不全などの急性呼吸器症状を呈して入院する患者が、
70から90%という高率で認められていましたが、
オミクロン株の流行期には、
これも31.6%に留まっていました。
入院患者の死亡率は、
デルタ株流行の第3波では29.1%という高率でしたが、
これもオミクロン株流行期には2.7%に低下していました。

ワクチン接種と入院患者との関連をみると、
オミクロン株流行期の入院患者のうち、
ワクチン未接種者は全体の66.4%を占めていました。

このように、オミクロン株の流行が、
その前のデルタ株の流行と比較して、
遙かに軽症事例が多く基礎疾患のある事例も少ないことは、
間違いのない事実です。
ただ、それがオミクロン株自身の性質によるものなのか、
ワクチン接種やこれまでの複数回の流行によって、
対する人間の側の免疫の状態の変化によるものなのか、
と言う点については、
現状はまだ結論が出ていない事項であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(2)  コメント(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。