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2021年の演劇を振り返る [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

お正月、皆さん如何お過ごしでしょうか?

今日は昨年の演劇を振り返ります。

昨年は以下の公演に足を運びました。

1.マキノノゾミ「原子核クラブ」
2.ラシーヌ「フェードル」(栗山民也演出)
3.福島3部作「1986:メビウスの輪」(KAATでの再演)
4.井上ひさし「藪原検校」(杉原邦生演出版)
5.劇団チョコレートケーキ「帰還不能点」 
6.劇団☆新感線「月影花之丞大逆転」
7. ワーグナー「ワルキューレ」(新国立劇場レパートリー)
8.ストッパード「ほんとうのハウンド警部」(小川絵梨子演出)
9.劇団地蔵中毒「無教訓意味なし演劇vol.14『母さんが夜なべをしてJavaScript組んでくれた』 」
10.赤堀雅秋「白昼夢」
11.「夜鳴きうぐいす」(新国立劇場レパートリー)
12.muro式「がくげいかい」
13.唐組「少女都市からの呼び声」
14.「キス」(飴屋法水×山川冬樹)
15. 「シブヤデアイマショウ」(松尾スズキ演出 大人の歌謡祭)
16.シェイクスピア「終わりよければすべてよし」(彩の国シェイクスピア・シリーズ第37弾)
17.唐組「ビニールの城」
18.シェーファー「ピサロ」(渡辺謙主演再演)
19. 井上ひさし「父と暮らせば」(山崎一版)
20. 北條秀司「王将」(2021年長塚圭史演出版))
21. M&Oplaysプロデュース「DOORS」(倉持裕作・演出)
22. 「フェイクスピア」(NODA・MAP第24回公演)
23. 「外の道」(前川知大新作)
24. タニノクロウ「虹む街」
25. 「首切り王子と愚かな女」(蓬莱竜太新作)
26. 細川徹「3年B組皆川先生~2.5時幻目~」
27. 井上ひさし「母と暮らせば」
28. 三浦大輔「物語なき、この世界。」
29. 三谷幸喜「日本の歴史」(再演)
30. 劇団「地蔵中毒」第13回公演 無教訓意味なし演劇vol.13『宴たけなわ 天高く円越える 孫世代』
31. 「砂の女」(ケラ演出版)
32. ワジディ・ムワワド「森フォレ」(上村聡史演出)
33. 安部公房「友達」(台本演出加藤拓也)
34. 大パルコ人4 マジロックオペラ 「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」
35. 2021年劇団☆新感線41周年興行秋公演 いのうえ歌舞伎「狐晴明九尾狩」
36. 岩松了「いのち知らず」
37. 阿佐ヶ谷スパイダース「老いと建築」
38. ロッシーニ「チェネレントラ」(新国立劇場レパートリー)
39. 藤本有紀「パ・ラパパンパン」(演出松尾スズキ)
40. ナイロン100℃「イモンドの勝負」
41. 城山羊の会「ワクチンの夜」
42. ゴキブリコンビナート第35回公演「肛門からエクトプラズム」

以上の42本です。
今回はオペラも新国立劇場の数本しか聴いていないので、
それも演劇として加えての数字です。
昨年と比較すれば増えているのですが、
年の後半は特に気分が乗らなくて劇場に足を運ぶ回数は減りました。
観落としている作品も多いので、
ベストを選ぶことはせず、
特に素晴らしかった作品を幾つか順不同でご紹介したいと思います。

①ワジディ・ムワワド「森フォレ」(上村聡史演出)
https://rokushin.blog.ss-blog.jp/2021-07-10-1
レバノン出身の気鋭の劇作家の傑作を、
上村聡史さんと実力派のキャストが、
完成度の高い衝撃的な翻訳劇に仕上げました。
8から9世代に渡る家族の歴史を遡るという、
超絶技巧を駆使しながら、
最後は世代を超えた掛け値なしの感動に着地します。
その中で松尾スズキさんの過去作にあるような、
グロテスクなグランギニョール趣味があるのも面白く、
世界にはこんな戯曲があるのかと、
仰天しつつとてもとても感銘を受けた1本でした。
再演熱望です。

②ピーター・シェーファー「ピサロ」(渡辺謙主演再演)
https://rokushin.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
1964年に初演された古典と言って良い戯曲ですが、
人間を人間たらしめている大切な何かが滅ぶ瞬間を描いた、
悲壮で壮絶な悪魔的傑作です。
その戯曲の素晴らしさと比較すると、
映像に頼る部分の大きな英語圏の演出家による演出には、
首を傾げる部分があるのですが、
渡辺謙さんのさすがの座長芝居を含めて、
その文字通り肺腑を抉るようなラストには、
これまであまり感じたことのないような衝撃を感じました。
こちらは演出を変えての再演熱望です。

③NODA・MAP「フェイクスピア」
https://rokushin.blog.ss-blog.jp/2021-06-05
個人的には野田秀樹さんの久々の傑作で、
「赤鬼」の初演以来と言って良い感銘を受けました。
虚構が必死で現実の悲劇の尻尾に食らいつくという、
悲惨な事件の多い今の時代における、
演劇人の矜持を感じさせる素晴らしい傑作でした。
高橋一生さん、橋爪功さん、白石加代子さんという、
アングラ、新劇、現代の巨人の演技トリオがまた、
最高に贅沢でした。

④唐組「ビニールの城」(再演)
https://rokushin.blog.ss-blog.jp/2021-05-16-1
第七病棟の初演は、
観ることの出来るタイミングはあったのに、
観のがしてしまったんですよね。
人生における最大の後悔の1つです。
でも唐組版の「ビニールの城」も素晴らしくて、
今回は待望の再演でしたし、
最初から2回予約を取って、
心ゆくまで堪能することが出来ました。
特に1幕が抜群の出来栄えで、
ラス前の2人の対峙する場面の台詞と展開に、
やや唐突な感じがすることを除いては、
完璧なアングラテント芝居でした。

そんな訳で本数は少なかったのですが、
この4本の傑作に出逢えただけで、
昨年は充実した観劇体験になりました。
関係者の皆様本当にありがとうございました。

今年何本くらいの舞台に出逢えるでしょうか?
感染防御には留意しつつ、
一期一会の思いで作品に対したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良いお正月をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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