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ファイザーワクチンのブースター接種の効果(イスラエルの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ファイザーワクチンのぶーースター接種の効果.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年9月15日ウェブ掲載された、
ファイザー・ビオンテック社新型コロナウイルスワクチンの、
3回目接種(ブースター接種)の効果についての論文です。

ファイザー・ビオンテック社の新型コロナmRNAワクチンの有効性は、
短期的には有症状の新型コロナウイルス感染症を、
約95%予防すると報告されています。

ただ、その有効性は接種完了後半年が経過すると、
かなり低下すると想定されていて、
特にデルタ株などの感染力の強い変異株の感染においては、
その有効性は50%程度まで低下するのではないか、
という推計も発表されています。

イスラエルはファイザー・ビオンテック社製ワクチンを主体とする。
新型コロナワクチンの国民への接種を、
世界に先駆けて行なって来た国ですが、
一旦は感染者が1日100万人当たり2件までの低下したものの、
その後デルタ株の感染が拡大すると、
再び増加に転じ、
その原因としてワクチン接種後数ヶ月以上経過したことによる、
有効率の低下が考えられました。

そのため2021年7月12日より、
感染のリスクの高い対象者に、
3回目の追加接種(ブースター接種)が開始され、
その後60歳以上の高齢者に接種対象は拡大されました。

今回のデータは2021年7月30日から8月31日までの間に、
60歳以上で2回目のワクチン接種から5ヶ月以上経過後に、
3回目接種を施行した1137804名データを解析し、
ブースター接種後の感染率を、
未接種と比較検証しています。

その結果、
ブースター接種後12日以降の、
有症状新型コロナウイルス感染症の罹患リスクは、
未接種と比較して、
11.3倍(95%CI:10.4から12.3)有意に低下していました。
重症感染の発症リスクも、
19.5倍(95%CI:12.9から29.5)有意に低下していました。

デルタ株流行後に、
有症状感染の予防効果が、
95%から50%に低下したと想定すると、
それがブースター接種で10倍のリスク低下することで、
計算上は50%のリスクが5%になり、
結果として以前の95%の有効率に戻った、
ということになる訳です。
(上記文献の考察にある説明です)

今後の問題はこの効果がどれだけ持続するものなのか、
ということで、
数年有効ということであれば非常に意義のあるデータですが、
これがまた半年で失速するということであれば、
半年ごとに追加接種を繰り返すというのは、
コスト的にもあまり現実的でないという気がします。

今後の検証を注視したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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