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ファイザー・ビオンテック社ワクチンの副反応(イスラエルの大規模疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療に午前中は廻り、
午後は産業医活動に充てる予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ファイザーワクチン副反応のまとめ.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年8月25日ウェブ掲載された、
イスラエル発、現在最新の、
ファイザー・ビオンテック社新型コロナワクチンの、
副反応の頻度についてのまとめです。

イスラエルでワクチン接種を受けた884828名を、
その時点では未接種の884828名とマッチングさせて、
各種の副反応の発症頻度を比較しています。

その結果、有害事象で最もリスクが高かったのは心筋炎で、
未接種と比較して発症リスクは3.24倍(95%CI:1.55から12.44)となり、
10万人当たり2.7件の頻度で過剰発症が見られていました。
ただ、実際に新型コロナウイルス感染症に罹患した場合の同様の発症リスクは、
18.28倍と算出され、過剰発症は10万人当たり11.0件です。

それ以外に多かったのはリンパ節炎で、
発症リスクは2.43倍(95%CI:2.05から2.78)、
過剰発症は10万人当たり78.4件、
虫垂炎の発症リスクが1.40倍(95%CI:1.02から2.01)、
過剰発症は10万人当たり5.0件、
帯状疱疹の発症リスクが1.43倍(95%CI:1.20から1.73)、
過剰発症は10万人当たり15.8件となっています。
それ以外に頻度は少なく因果関係は不明ですが、
心外膜炎、深部静脈血栓症、肺塞栓症、血小板減少症、
急性心筋梗塞、脳内出血の報告は上がっています。

ファイザー・ビオンテック社の新型コロナワクチンが、
トータルに見て安全性が高く、
有効性も短期的には非常に高いことは、
間違いのない事実ですが、
その接種後に炎症性の変化が全身的に見られる可能性がある、
という事実は、これまでのワクチンとは異なる特徴として、
常に押さえておく必要がありそうです。

クリニックでも、
帯状疱疹の発症事例は2例、
全身性のリンパ節炎が3例、
痛風発作3例、
深部静脈血栓症の疑い1例などを経験しており、
心筋炎を診断した事例はありませんが、
胸部痛や息切れなどの症状のあるケースでは、
トロポニンの測定や心電図などで、
その可能性の検証はしています。

今後も注意深く観察は行いつつ、
接種された方が不安を強めることがないように、
慎重な説明を心がけたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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