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新型コロナウイルスmRNAワクチンの重症予防効果(アメリカの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナワクチンの重症化予防効果.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年7月30日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルスmRNAワクチンの、
医療従事者における感染予防効果と、
重症化予防効果を検証した臨床データです。

新型コロナウイルスワクチンのうち、
ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社による、
2種類のmRNAワクチンが、
接種後1から2か月の間において、
約95%という高い有効性を持つことは、
ほぼ間違いのない事実です。

ただ、無症状を含めた感染の予防効果と、
感染してしまっても、
症状が軽くウイルス量が少ないのかどうか、
つまり重症化予防効果があるのか、
というような点については、
まだそれほどデータの蓄積がないのが実際です。

今回の検証はアメリカの複数地域において、
サポートスタッフなどを含む医療従事者、
トータル3975名を登録し、
2020年12月14日から2021年4月10日まで、
17週間の経過観察を施行。
その間は1週間に一度のRT-PCR検査を定期的に施行して、
それ以外にも発熱などの症状があれば、
その時点で検査を行なうという対応を継続しています。
そして観察期間中の感染率を、
その時点でのワクチンの接種状況と比較検証しています。
接種されたワクチンは、
基本的にファイザー社もしくはモデルナ社のmRNAワクチンです。

その結果、
観察期間中に204名(5%)の対象者が、
新型コロナウイルス感染症に罹患していて、
そのうちの5名は2回目のmRNAワクチン接種後,
2週間以降で感染、
11名は初回接種後14日以降で2回目接種後2週間以内で感染、
156名はワクチン未接種での感染でした。
32名は1回目接種後14日未満での感染のため、
ワクチンの有効性の解析には不適で除外されています。

ここから関連する因子を補正して計算すると、
2回のワクチン接種後14日以降の有効率は91%
(95%CI:76から97)で、
1回ワクチン接種後2週間以降の有効率は81%
(95%CI:64から90)と算出されました。
これは有症状と無症状の感染を併せた有効率です。

ここでウイルスの排泄量をワクチン接種者と非接種者の感染で比較すると、
ワクチン接種者ではウイルス量が40%低下していて、
38度以上の発熱などの症状の発症率も58%低く、
臥床期間も2.3日短くなっていました。

これは概ねワクチン接種後1から2か月程度の期間の感染ですが、
実際に有症状と無症状を併せた感染のリスクを、
90%以上低下させる効果があり、
ワクチン接種後の感染事例においては、
未接種と比べてウイルス量が少なくて症状も軽く、
重症化予防効果のあることも確認されました。

このように、
短期の有効性については非常に高い効果のある、
mRNAワクチンですが、
現状の問題は変異株、特にデルタ株への有効性と、
接種後数か月以降の時期における有効性で、
今後そうした点についても、
信頼の置けるデータの蓄積を待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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