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新型コロナウイルスワクチン接種後の顔面神経麻痺について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は事務作業などの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナワクチンによる顔面神経麻痺.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年4月27日掲載されたレターですが、
新型コロナウイルスのmRNAワクチン接種後の、
顔面神経麻痺の頻度について検証した内容です。

ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社による、
新型コロナウイルスのmRNAワクチンは、
有症状感染の発症予防効果として、
短期的には約95%という高い有効性を持ち、
現状流行の主体である変異株の感染に対しても、
一定の有効性を持つことが確認されています。

その副反応についても、
発熱や筋肉痛などの症状については、
高い比率で認められるものの、
強い全身性アレルギー反応であるアナフィラキシーや、
若年男性に多い急性心筋炎などは、
確認はされているものの頻度としては高いものではありません。

それ以外に、
臨床試験でコントロール群より高い頻度で認められていたのが、
顔面神経麻痺です。

これが本当にワクチン由来の副反応であるのかは、
現時点では不明ですが、
ウイルス感染や自己免疫は、
顔面神経麻痺の原因の1つではあり、
これまでに開発された多くのワクチンにおいても、
頻度は低いながら認められている副反応ではあるので、
実際に多くの一般の方に接種が行われた時に、
他のワクチンと比較して、
新型コロナワクチンでの発症が多いかどうか、
と言う点が、1つの問題となるのです。

今回のデータは、
WHOの専門部会で収集された、
新型コロナウイルスmRNAワクチンの有害事象、
トータル133883名を解析したもので、
そのうちの0.6%に当たる844名で、
顔面神経麻痺とその関連疾患が、
報告されていました。
このうちの749名はファイザー・ビオンテック社ワクチンの接種後で、
95名はモデルナ社ワクチンの接種後の発症でした。

844名中の67.8パーセントに当たる572名が女性で、
年齢の中央値は49歳、
ワクチン接種から発症までの中央値は2日でした。

これを他のワクチン接種における発症と比較したところ、
他のワクチン全体でも、
インフルエンザワクチンのみとの比較でも、
新型コロナワクチンにおける顔面神経麻痺の発症率は、
高いということはなく、
インフルエンザワクチンの方が、
より発症率は高くなっていました。

このようにこれまでの疫学データを見る限り、
新型コロナウイルスワクチン接種後の顔面神経麻痺は、
他のインフルエンザワクチンなどの接種後と比較して、
より高いということはなく、
新型コロナワクチン特有の有害事象と言えるものではないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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