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サイクリングの糖尿病生命予後への有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
終日新型コロナワクチン接種のお手伝いの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
サイクリングの糖尿病への有効性.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年7月19日ウェブ掲載された、
サイクリングが糖尿病の患者さんの生命予後に、
与える影響についての論文です。

糖尿病の患者さんは糖尿病のない人と比較して、
総死亡のリスクも心血管疾患による死亡リスクも、
高いことが知られています。

糖尿病治療の目標は、
従ってその生命予後を糖尿病のない人と同じにすることですが、
そこにおいて薬物治療や食事療法と同じように重要であるのが、
運動習慣であるという点は、
専門家の一致した見解です。

ただ、それではどのような運動が、
糖尿病の患者さんにおいて最もその予後改善に結び付くのか、
と言う点については、
まだ明確なことが分かっていません。

心血管疾患の予防のためには、
ウォーキングに少し強度の高い運動を混ぜたような、
運動プログラムが有効と報告されていますが、
実際には糖尿病の患者さんが、
そうした運動に定期的に時間を割くことは、
それほど簡単なことではありません。

そこで習慣化しやすい運動として、
注目されているのがサイクリングです。

サイクリングは一定の運動強度があり、
出勤や買い物などをサイクリングに切り替えることにより、
簡単に運動習慣を作れるという利点があります。

サイクリングが心血管疾患のリスク低下に繋がる、
という点については、
これまでに複数のデータが存在していますが、
糖尿病の患者さんにおいての生命予後改善効果については、
これまでに信頼の置けるデータがありませんでした。

そこで今回の研究では、
ヨーロッパで生活習慣と癌との関連を検証した、
大規模な疫学研究のデータを活用して、
糖尿病の患者さんにおけるサイクリングの習慣と、
生命予後との関連を比較検証しています。

7459名の糖尿病患者を5年経過観察したところ、
サイクリングの習慣のある患者はない患者と比較して、
総死亡のリスクが週に60分未満でも22%(95%CI:0.61から0.99)、
150から299分では32%(95%CI:0.57から0.82)、
有意に低下していました。
こうした傾向は心血管疾患による死亡リスクについても、
ほぼ同様に認められました。

このように、糖尿病の患者におけるサイクリングの習慣は、
週に300分未満では運動時間に伴って、
生命予後の改善効果が確認されました。

週に300分で頭打ちになっていることの解釈は、
確実なものはありませんが、
サイクリングには事故のリスクはあり、
それが影響した可能性も否定は出来ません。

この問題は今後より詳細な検証が必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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