SSブログ

デルタ株に対する新型コロナワクチンの有効性(イギリスの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも須田医師が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
デルタ株に対するコロナワクチンの効果.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年7月21日ウェブ掲載された、
新型コロナワクチンのデルタ株に対する有効性についての論文です。

新型コロナウイルスワクチンのうち、
ファイザー・ビオンテック社と、
モデルナ社の2種類のmRNAワクチンと、
アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンについては、
その高い有効性が臨床試験においても、
その後の疫学データにおいても確認されています。

ただ、現時点でクリアでない問題は、
数ヶ月を超える有効性が不明であるという点と、
変異株、特にその性質に違いのあるとされるデルタ株に対する、
有効性が明確ではないという点です。

今回の検証は、
主にファイザー・ビオンテック社ワクチンと、
アストラゼネカ社ワクチンが接種されているイギリスにおいて、
RT-PCR検査のパターンからアルファ株とデルタ株を同定して、
両者に対する2種類のワクチンの有効性を比較しているものです。

その結果、
新型コロナワクチン1回接種後の有効性は、
アルファ株に対するものが48.7%(95%CI: 45.5から51.7)、
デルタ株に対するものが30.7%(95%CI: 25.2から35.7)で、
ファイザー社とアストラゼネカ社ワクチンの間で、
明確な差は認められませんでした。

ファイザー・ビオンテック社ワクチンの、
2回目接種後の有効性は、
アルファ株に対するものが93.7%(95%CI: 91.6から95.3)、
デルタ株に対するものが88.0%(95%CI: 85.3から90.1)であったのに対して、
アストラゼネカ社ワクチンの2回目接種後の有効性は、
アルファ株に対するものが74.5%(95%CI: 68.4から79.4)、
デルタ株に対するものが67.0%(95%CI:61.3から71.8)と推計されました。

それを図示したものがこちらになります。
デルタ株に対するコロナワクチン2回の効果グラフ.jpg

今回の検証からは、
数ヶ月という期限付ですが、
デルタ株に対する新型コロナワクチンの有効性は、
アルファ株のそれと比較すると劣るものの、
2回接種以降については、
一定の水準には達していると、
現時点ではそう考えて良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(2)  コメント(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。