「物語なき、この世界。」(三浦大輔新作) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
大井競馬場で新型コロナワクチン接種のお手伝いです。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ポツドールの三浦大輔さんの3年ぶりの舞台新作が、
今シアターコクーンで上演されています。
ポツドールの「愛の渦」の初演は、
大人計画の「愛の罰」の初演と並んで、
かつてないくらいの衝撃を受けた舞台で、
その後しばらくは大人計画とポツドールと共に生きている、
という感じすらあるほどでした。
ただ、それはもう当たり前ではあるのですが、
僕と同じように、大人計画の松尾スズキさんも、
ポツドールの三浦大輔さんも年を取り、
あのギラギラした小劇場のるつぼのような世界からは、
かなり遠くに来てしまいました。
三浦大輔さんは、
松坂桃李さんに舞台上で全裸の性行為を延々と演じさせた、
「娼年」という怪作がありましたが、
その後は映像に軸足を移した感じで、
舞台の仕事は企画公演がたまにあるだけ、
という感じになっています。
今回の作品は岡田将生さんと峯田和伸さんのダブル主演で、
どうしようもない駄目男の怠惰な世界を、
新宿歌舞伎町のゴジラ通りの一夜を舞台に描いた作品です。
星田英利さんが物語の「闇」の部分を体現し、
その地獄と死の世界に引き込まれそうになりながら、
最後は生還して朝を迎えるまでの物語です。
如何にも三浦さんらしい素材で、
主人公達のダメ男ぶりの表現や、
連鎖的に不運が訪れて、
闇の世界の入り口が開く感じなどは、
これまでの三浦さんの劇作に、
繰り返し描かれてきたものです。
ただ、今回の作品については、
これまでの作品と比較すれば相当マイルドで、
第一部の終わりで提示された「深刻な事態」も、
第二部の始めにはあっさりと解決され、
その後は何か傍観者的に、
主人公達の人生が俯瞰されます。
おっぱいパブや風俗などの描写はありますが、
それほど突っ込んだものではなく、
寺島しのぶさんも人生の師匠的立ち位置で、
かつてのNGなしの大暴れを期待すると、
少し拍子抜けする感じもあります。
ただ、これがおそらく良くも悪くも、
今の三浦さんの世界で、
かつての衝撃的な小劇場の世界を、
期待する方がおそらく間違っているのだと思います。
舞台セットはリアルではありませんが、
複数のセットが複雑に絡み合い、
歌舞伎町の地獄巡りをスピード感をもって表現した労作でした。
キャストは皆好演で、
以前のように女性キャストが作品中で変貌するような趣向はないので、
昔のポツドールを知る者からは、
どうしても物足りない感じはあるのですが、
峯村さんの2曲の生歌のサービスもあり、
まずは納得、という気分で、
劇場を後にすることは出来ました。
基本的に寛容な三浦さんのファンであれば、
まずまず納得というレベルの作品で、
昔の過激さを愛する人には向きませんし、
引き締まった完成度の高いお芝居が観たい、
という向きには、
その真逆の作品ではあるので、
他の舞台を選んで頂いた方が賢明だと思います。
個々のキャストのファンの方には、
皆さんそれなりの見せ場が用意されていますから、
そう落胆することはないと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
大井競馬場で新型コロナワクチン接種のお手伝いです。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ポツドールの三浦大輔さんの3年ぶりの舞台新作が、
今シアターコクーンで上演されています。
ポツドールの「愛の渦」の初演は、
大人計画の「愛の罰」の初演と並んで、
かつてないくらいの衝撃を受けた舞台で、
その後しばらくは大人計画とポツドールと共に生きている、
という感じすらあるほどでした。
ただ、それはもう当たり前ではあるのですが、
僕と同じように、大人計画の松尾スズキさんも、
ポツドールの三浦大輔さんも年を取り、
あのギラギラした小劇場のるつぼのような世界からは、
かなり遠くに来てしまいました。
三浦大輔さんは、
松坂桃李さんに舞台上で全裸の性行為を延々と演じさせた、
「娼年」という怪作がありましたが、
その後は映像に軸足を移した感じで、
舞台の仕事は企画公演がたまにあるだけ、
という感じになっています。
今回の作品は岡田将生さんと峯田和伸さんのダブル主演で、
どうしようもない駄目男の怠惰な世界を、
新宿歌舞伎町のゴジラ通りの一夜を舞台に描いた作品です。
星田英利さんが物語の「闇」の部分を体現し、
その地獄と死の世界に引き込まれそうになりながら、
最後は生還して朝を迎えるまでの物語です。
如何にも三浦さんらしい素材で、
主人公達のダメ男ぶりの表現や、
連鎖的に不運が訪れて、
闇の世界の入り口が開く感じなどは、
これまでの三浦さんの劇作に、
繰り返し描かれてきたものです。
ただ、今回の作品については、
これまでの作品と比較すれば相当マイルドで、
第一部の終わりで提示された「深刻な事態」も、
第二部の始めにはあっさりと解決され、
その後は何か傍観者的に、
主人公達の人生が俯瞰されます。
おっぱいパブや風俗などの描写はありますが、
それほど突っ込んだものではなく、
寺島しのぶさんも人生の師匠的立ち位置で、
かつてのNGなしの大暴れを期待すると、
少し拍子抜けする感じもあります。
ただ、これがおそらく良くも悪くも、
今の三浦さんの世界で、
かつての衝撃的な小劇場の世界を、
期待する方がおそらく間違っているのだと思います。
舞台セットはリアルではありませんが、
複数のセットが複雑に絡み合い、
歌舞伎町の地獄巡りをスピード感をもって表現した労作でした。
キャストは皆好演で、
以前のように女性キャストが作品中で変貌するような趣向はないので、
昔のポツドールを知る者からは、
どうしても物足りない感じはあるのですが、
峯村さんの2曲の生歌のサービスもあり、
まずは納得、という気分で、
劇場を後にすることは出来ました。
基本的に寛容な三浦さんのファンであれば、
まずまず納得というレベルの作品で、
昔の過激さを愛する人には向きませんし、
引き締まった完成度の高いお芝居が観たい、
という向きには、
その真逆の作品ではあるので、
他の舞台を選んで頂いた方が賢明だと思います。
個々のキャストのファンの方には、
皆さんそれなりの見せ場が用意されていますから、
そう落胆することはないと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2021-07-18 09:25
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