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インターロイキン6受容体拮抗薬の新型コロナウイルス感染症への有効性(2021年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
IL6抗体治療のコロナへの有効性.png
JAMA誌に2021年7月6日ウェブ掲載された、
サイトカインを抑制する生物学的製剤の、
新型コロナウイルス感染症に対する有効性を検証した、
メタ解析の論文です。

現状新型コロナウイルス感染症に有効とされる治療薬は、
ステロイド(糖質コルチコイド)剤と、
抗ウイルス剤のレムデシビルのみですが、
ステロイドと共に過剰な炎症を抑制する薬剤として、
複数の臨床試験が施行されているのが、
炎症性サイトカインのインターロイキン6を抑制する薬です。

最も広く使用されているのは、
インターロイキン受容体拮抗薬と言われる、
生物学的製剤の注射薬で、
その代表のトシリツマブ(商品名アクテムラ)と、
サリルマブ(商品名ケブザラ)は、
日本でも関節リウマチ治療薬として使用されています。

それでは、このタイプの薬には、
新型コロナウイルス感染症に対して、
どの程度の有効性があるのでしょうか?

今回の研究は、
これまでの主な精度の高い臨床試験のデータを、
まとめて解析したメタ解析です。

これまでの27の介入試験に含まれる、
トータルで10930名の新型コロナウイルス感染症事例を、
まとめて解析したところ、
インターロイキン6受容体拮抗薬による治療は、
偽薬もしくは通常治療のみと比較して、
治療開始後28日の時点での総死亡リスクを、
14%(95%CI:0.79から0.95)有意に低下させていました。

これを基礎治療としてステロイドが使用されている場合と、
使用されていない場合とに分けて解析すると、
使用している場合のインターロイキン6受容体拮抗薬の使用は、
偽薬もしくは通常治療のみと比較して、
治療開始後28日の時点での総死亡リスクを、
より大きく22%(95%CI:0.69から0.88)低下させている一方、
ステロイド未使用の場合のみの解析では、
死亡リスクの有意な低下は認められませんでした。

このように、
インターロイキン6受容体拮抗薬の使用は、
一定の生命予後の改善効果が認められますが、
それはステロイドの併用により顕著に認められ、
ステロイドとの併用が、
治療の大きな選択肢として、
注目される流れになりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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