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新型コロナワクチン接種の精子への影響 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
新型コロナの精子への影響.jpg
JAMA誌に2021年6月17日ウェブ掲載されたレターですが、
新型コロナウイルスワクチン接種前後で、
健康成人男子の精子量やその運動率などを比較したものです。

新型コロナウイルスワクチンの接種は、
世界中で進行していますが、
日本よりワクチン接種が進行しているアメリカにおいても、
上記文献の記載によれば、
ワクチン接種を希望している国民は、
全体の56%に過ぎない、という統計があるようです。

その原因の1つとして、
多くのワクチンによる悪影響が報道されたり、
SNSなどで拡散されているという事実があり、
その1つとしてワクチンが不妊の原因になるのではないか、
というものがあります。

今回の検証は事例は少数でまだ確定的なものではありませんが、
精子数など男性不妊に対するワクチンの影響を検証したものです。

ファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンの臨床試験において、
精子数の減少などが報告されている訳ではありません。
ただ、新型コロナウイルス感染症自体が、
精子数の減少や運動率の低下などと関連している、
という報告はあり、
そこからワクチンの悪影響が危惧されているのです。

今回の検証はアメリカの単独施設(大学)において、
18歳から50歳の健康な男性を登録し、
新型コロナウイルス感染症の直近の感染のないことを確認した上で、
ファイザー社もしくはモデルナ社のワクチン接種前に精子を採取し、
2回目のワクチン接種の概ね70日後に、
2回目の精子の採取を施行して、
その精子数や運動率を比較しているものです。

登録者は45名で、
そのうち21名はファイザー社のワクチンを、
残りの24名はモデルナ社のワクチンを接種しています。

ワクチン接種前後の比較において、
精子の量や濃度、運動率などの指標は、
いずれもワクチン接種後に増加していました。
ただ、増加幅は小さく正常範囲での変動なので、
ワクチンにより精子数や運動率が改善する、
ということではなく、
悪影響は見られない、という判断の方が適切であるようです。

精子数の少ない乏精子症は8名に認められましたが、
7名はワクチン接種後に正常化しており、
残りの1名も接種後の低下は認められませんでした。

このように、まだ少数例で確定的なものではありませんが、
新型コロナウイルスmRNAワクチン自体が、
精子に影響を与えるという根拠は、
現状は考えにくいと、
そう思って良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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