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極私的新型コロナウイルス感染症情報(2021年7月4日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
終日レセプト作業の予定です。

今日はクリニック周辺の感染症情報です。

6月下旬以降東京では感染者の増加が続いていますが、
現状クリニックでのRT-PCR事例は多くありません。

品川区からの情報では、
6月末からの感染確定事例は増加しており、
20代、30代の若年層が多いという点では、
東京全体の傾向と一致しています。

その点を受けてクリニックにおいても、
小児の発熱者にも、
以前より積極的に検査を施行する方針としています。

以前は未就学児はほぼ全例、
鼻腔からの検体で検査をしていましたが、
保育園でも唾液の採取などが行われるようになり、
お子さんも慣れて来ているのでしょうか、
最近では2歳以上は唾液での検査が可能なことが、
多くなっています。

これは進歩と言って良いのかどうか微妙です。

変異株の追跡は、
アルファ株(以前の英国型)が主体のN501Y変異は、
検査事例の8割を占めていることもあり
行なわない方針となっているようで、
今はデルタ株(以前のインド型)が主体のL482R変異のみで、
施行されているようです。

これは何度も書いていることですが、
現状全ての事例で検査が行われている訳ではなく、
無作為に検体が抽出されているという訳でもないので、
実体がどうであるのかは明確ではない、
というのが事実です。
自治体主導の検査は数は少数ですし、
それ以外は検査会社の自主性に任されているからです。

そうしたあまり根拠の乏しいデータを元にして、
「今日は何例のデルタ株が見付かった」と騒ぎ立てるのは、
全く意味のない扇動であるように思います。

現在一番知りたい情報は、
現行接種されているmRNAワクチンが、
デルタ株にどの程度有効であるか、
ということですが、
実験レベルのデータは開示されていても、
実臨床の疫学データは従来株のもので止まっていて、
少なくとも査読を経たような論文で、
こうした情報はないのが現状です。
(もし情報をお持ちの方はご教授下さい)

ワクチンの変異株に対する有効性と、
感染対策とは両輪である筈ですが、
それがないままの現状は、
臨床に携わるものとしては不安が大きいのです。

6月以降の感染者については、
症状的に拍動性の頭痛が強く、
咽頭痛と発熱が認められ、
扁桃炎の症状のように思われるのですが、
扁桃炎の所見は乏しい、
というのが特徴的です。
確かに味覚嗅覚障害の訴えは、
殆ど聞かなくなりました。

ただ、これが本当に変異株の特徴なのか、
と言う点については良く分かりません。

訳知り顔に、
「デルタ株の症状の特徴はこうだよ」
と言うような方もいますが、
実際には信頼の置ける疫学データがなく、
症例の分布自体も不確かなのですから、
少数の自験例のみで、
そうしたことを言うのは、
科学的ではないように思います。

ワクチン接種も混乱が続いており、
スタッフを含めて疲弊と消耗も大きいのが実際ですが、
現状の収束に向けて、
末端の臨床医として日々の業務に当たりたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんは良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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