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新型コロナウイルスB.1.1.7変異株の入院リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
イギリス型変異株の入院リスク.jpg
British Medical Journal誌に、
2021年6月15日ウェブ掲載された、
日本でもその比率が拡大している、
B.1.1.7変異株の入院リスクを解析した論文です。

B.1.1.7変異株は一般に「英国型」とされ、
2020年11月に最初にイギリスで見付かり、
現在世界135カ国で検出されている、
最も現状広く世界に広がり、
かつ研究自体も進んでいる変異株です。

日本においても現在流行の主体となっていると想定されていますが、
日本では全例検査がされている訳ではなく、
無作為に抽出しての検査が行なわれているということもなく、
多くはゲノム解析ではなく、
N501Y点変異のみの解析で推測されているので、
その正確な広がりや比率は不明です。

その感染力は重症化率は、
従来型のウイルスより高いと推定されていますが、
データにより結果には違いがあり、
こちらも正確に分かっているとは言えない状態です。

今回の研究はイギリスにおいて、
839278名の遺伝子検査による新型コロナウイルス感染症確定事例のうち、
SGTFという特徴的な所見により、
それがB.1.1.7変異であると推測し、
この変異の有無と、
患者が診断から14日以内に入院するリスクとの関連を、
比較検証しているものです。

その結果、
従来型のウイルスの感染と比較して、
B.1.1.7変異株による感染では、
入院のリスクが1.52倍(95%CI:1.47から1.5’7)
有意に増加していました。

この入院リスクの増加は年齢と関連があり、
20歳未満の年齢層では入院リスクは0.93から1.21倍であったのに対して、
年齢が20から29歳では1.29倍となり、
30歳以上では1.45から1.65倍となっていました。

このように、
新型コロナウイルス感染症の入院リスクは、
従来型のウイルスよりB.1.1.7変異株の感染で高く、
それは重症化率が高いことを示唆している結果と考えられます。
そのリスクの増加は、
30歳以上でより顕著に認められました。

こうした傾向は日本の第4波と言われるような流行においても、
ほぼ同等の影響を及ぼしているように、
臨床医の体感としてはそう感じますが、
今後日本においても、
正確な疫学データとして、
検証されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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