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新型コロナウイルス感染症のウイルス量と年齢との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルス量と年齢.jpg
JAMA Pediatrics誌に、
2021年6月11日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の患者年齢と、
ウイルス量との関連についての論文です。

新型コロナウイルス感染症には明確な年齢による差があり、
有症状の感染事例について見ると、
小児特に乳幼児においては感染事例は稀で、
肺炎になるような事例は大人が殆どです。

そのため、当初は、
小児には感染しない、というように考えられていましたが、
その後小児における無症状感染や軽症の感染が、
多く報告されるに従って、
小児にも感染はするけれど、
多くは無症状か軽症で終わり、
子供から感染が拡大するリスクは低い、
というように考えられるようになりました。

小児の感染時のウイルス量についても相反する報告があり、
大人と変わらないという報告がある一方、
むしろ多いというような報告もあります。

今回のデータはアメリカにおいて、
感染者の濃厚接触者へのサーベイランスのデータを活用して、
年齢とウイルス量との関連を検証しています。

ウイルス量は、
上気道のRT-PCR検査における、
CT値(Cycle Threshold Values)という指標から、
それを推測して比較しています。

PCR検査はウイルス遺伝子を増幅して検出するもので、
それ自体に定量性はありませんが、
CT値が低いとウイルス量が多いことが示唆されるので、
それを代用指標としているのです。

対象はサーベイランスを行なって遺伝子検査で陽性となった555名で、
平均年齢は33.7歳、そのうちの123名が18歳未満の小児です。
大人の7.2%が無症状感染であったのに対して、
小児の無症状感染は38.2%で、
明確に小児では無症状感染が多いことが分かります。
無症状感染に比較して有症状感染のウイルス量は高く、
それは大人でも小児でも違いはありませんでした。
そして、有症状感染の小児と大人、
無症状感染の小児と大人の間では、
有意なウイルス量の違いは認められませんでした。

要するに、
年齢によるウイルス量の違いはあまりなく、
有症状と無症状においては、
明確に有症状においてウイルス量は多くなっていました。

この点からは、
小児と大人の違いはウイルス量ではなく、
無症状感染の多さにある、
ということになるようです。

それで年齢による感染の広がり方の違いを、
全て説明は出来ないように思いますが、
年齢による感染の状態の違いの中に、
この病気の本質に繋がる手がかりがあることは間違いがなく、
今後の研究の行方を注視したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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