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ファイザーワクチン接種後の心筋炎事例(アメリカでの7例報告) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ファイザーワクチン接種後の心筋炎.jpg
Pediatrics誌に2021年6月1日ウェブ掲載された、
ファイザー・ビオンテック社の新型コロナワクチン接種後に発症した、
心筋炎の事例7例をまとめた症例報告です。

アナフィラキシー以外、
大きな副反応や有害事象の報告なく、
世界的に接種が進行している、
ファイザー・ビオンテック社新型コロナワクチンですが、
最近比較的若い年齢で男性主体に、
接種後数日で急性心筋炎を発症する事例が、
複数報告されて注目をされています。

散発的報告がアメリカやヨーロッパであり、
イスラエルの疫学データでは、
18歳から30歳の年齢層の男性において、
2万人に1例の頻度で発症していると報告されています。

アナフィラキシーの事例は女性に殆どであるのと対象的に、
この心筋炎の事例は男性が殆どという特徴があります。

今回の報告はアメリカにおいて、
ファイザー・ビオンテック社ワクチンの2回目の接種後4日以内に、
急性心筋炎もしくは急性心外膜炎を来した、
14から19歳の男児の事例7例をまとめたものです。

事例1は16歳の男性で、
ファイザー・ビオンテック社新型コロナワクチン2回目接種の2日後に、
全身倦怠感と38.3℃の発熱、食欲不振と上半身の痛みを訴え、
救急受診となった事例です。
心電図で房室解離とST上昇を認め、
トロポニンという心筋由来の酵素が上昇。
MRIにて急性心筋炎の所見を認めました。
新型コロナのRT-PCR検査は陰性、
新型コロナの抗体も陰性でした。
免疫グロブリンやステロイドの治療を行い、
3週間で治癒しています。

こうした事例7例が紹介されていますが、
いずれもワクチンの2回目接種後4日以内に発症していて、
いずれも新型コロナの小児感染事例で報告の多い、
川崎病の基準は満たしていません。
新型コロナの遺伝子検査も全ての事例で陰性です。
5例は症状として発熱があり、
6例は新型コロナの抗体も陰性でした。
全ての事例でトロポニンは上昇しており、
MRIで心筋炎に特徴的な所見を確認されています。
7例全てが回復しており、
そのうちの3例は非ステロイド系消炎鎮痛剤のみで治療され、
4例は免疫グロブリンとステロイドが使用されています。

このように、
現状因果関係は不明ですが、
若年男性でワクチンの2回目接種から数日での発症、
という点で共通性があり、
世界各地で同じように報告されていることから、
日本においても特に20歳未満の男性への接種時には、
注意を払って慎重に経過をみる必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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