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「キャラクター」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
キャラクター.jpg
菅田将暉さん主役のサイコ・スリラーで、
デビュー出来ずに苦しむ漫画家の卵が、
偶然目撃した猟奇殺人事件とその犯人をモデルに、
描いた漫画が大ヒットするのですが、
そのモデルの殺人鬼が、
漫画家の前に登場して、
漫画通りの殺人を犯す、というお話です。

如何にも漫画原作という気がしますが、
これは漫画の原作などを多数手がける作者によるオリジナルで、
それを娯楽作品を多く手がける永井聡監督が演出しています。

殺人鬼をアーティストのFukaseさんが演じ、
脇は小栗旬さん、中村獅童さん、高畑充希さんが固める、
という豪華キャストで、
これは面白くなるのでは、という期待が高まります。

で、勿論期待通り面白かった、
という感想の方もいらっしゃると思いますが、
僕個人の感想としては、
かなりガッカリの出来映えで、
何でこんな風にしてしまったの、と、
疑問が幾つも浮かぶような作品でした。

以下、ネタばれを含む感想です。

鑑賞予定の方は鑑賞後にお読み下さい。
また、少し悪口の感想になりますので、
この作品を良かったと思われた方には、
不快に感じる部分があるかも知れません。
感想は人それぞれということで、
ご容赦頂ければ幸いです。

では続けます。

これね、
何のひねりもない話なんですよね。
同世代の凶悪犯と漫画家が対決するという、
ただそれだけの内容なのですが、
主人公の漫画家はそれなりに人物像が描写されているのですが、
殺人鬼の方はどんな人物なのか、
まるで分からないんですね。
行き当たりばったりに人を殺しているだけのようで、
4人家族に対するこだわりというのも、
宗教的な団体が絡んだりして、
何かありそうかな、と思うのですが、
結局放り出したまま、終わってしまう、
という印象なんですね。
警察が必死で捜査しても捕まらない、
というのもおかしいですよね。

僕はトリッキーな話が好きなので、
ははあ、これは別の真犯人がいるのかしら、とか、
別人が化けているだけなのかしら、とか、
サイコスリラーで、菅田将暉と犯人が同一人物だったり、
菅田将暉が最後に犯人を殺して、
今度は自分が殺人鬼を引き継ぐということなのかしら、
とか、色々考えるのですが、
そうしたことは一切なくて、
裁判で「私は誰でしょう?」みたいなことを言って、
それで終わってしまいます。

オープニングで結構じっくり主人公の生活を描くのですね。
それから殺人事件に遭遇して、
犯人を見てから、創作意欲が沸いて漫画を描いたところで、
物語は急に1年後に飛んで、
もう主人公は売れっ子漫画家になっている、
という展開なんですね。

これどうなのかしら。
普通はその漫画が大ヒット、というところが、
とても内容的に大事な部分でしょ。
それを描かないのは駄目なのじゃないかしら。

漫画と現実の事件との関連も良く分からないですね。
第二の事件が1年後に起こるのですが、
それは最初に漫画で描かれた事件を、
殺人鬼が自分で模倣する、という展開なのですね。
でも、それだと4人家族に対する偏愛を、
既に主人公が知っていた、ということになりますよね。
それおかしいでしょ。
それに連載漫画が1年続いていて、
事件が1つしか起こっていない、というのはどうなのかしら。
ちょっとおかし過ぎないか、
という気がします。

漫画は「34(さんじゅうし」というタイトルで、
3人の仲間が殺人鬼に対決する、
というお話だと説明されるのですが、
その設定が現実に全くリンクしていないですよね。
それだったら、現実にも主人公の仲間が2人いるのが定石でしょ。
その設定がまるでないのもモヤモヤします。

2回目の殺人が漫画を模倣していたので、
警察官の小栗旬さんが主人公にその疑問を尋ねると、
菅田さんはすぐに真実を話してしまうんですね。
その後で犯人と遭遇しますが、
それもすぐ警察にその通りに話してしまうんですね。

これも普通はない展開ですよね。
普通はね、主人公は警察にすぐ話したりしないでしょ。
自分1人で犯人に立ち向かおうとするから、
こうしたお話にはサスペンスが生まれるので、
すぐに警察に話してしまって一緒に協力してしまったら、
犯人は1人(もしくは2人)だけなのですから、
全然犯人側が不利になってしまって、
スリルもサスペンスもないですよね。
定石を敢えて変えようとしたのかも知れないのですが、
結果としては大失敗であったように思います。

主人公が犯人に遭う場面も酷いんですよ。
飲み屋でまず主人公と小栗さんの刑事が話しをしてるんですね。
そこで小栗さんが席を外して外に出ると、
入れ替わりに犯人が入って来て、主人公をびっくりさせて、
それで犯人が去ると、
今度は小栗さんが戻って来るのです。

こんな展開はちょっと不自然過ぎるでしょ。
演劇なら仕方がないですけれど、映画でこれはない、
という気がします。
これだと刑事と犯人が同一人物か仲間ではないかと、
疑ってしまうところですが、
勿論そんなことはなく、
この展開は単なる偶然で終わるのです。

キャストはFukaseさんが弱いんですね。
顔を歪めて、如何にもサイコ、という感じを表現しているのですが、
怖さや迫力はあまり感じません。
ミスキャストとは思わないんですね。
脚本が弱いんですよ。
もっとこの人物の背景に、
不気味な闇みたいなものが描かれていないと、
ただの道化にしか見えないんですね。
とても残念に感じました。

そんな訳で、
引き締まった「ファーザー」のすぐ後で観たせいもあるのですが、
ダラダラと長い2時間余りで、
切ない気分で映画館を後にしました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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