「パーム・スプリングス」(ネタバレ注意) [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
これは2020年HULU製作の映画で、
アメリカと香港の合作です。
おそらく配信が主体の作品だと思いますが、
日本ではロードショー公開されています。
砂漠のリゾートを舞台にしたタイムループもので、
同じ1日を永遠に繰り返す、という設定のお話です。
その昔の古典SFに良くあったネタで、
どれがオリジナルかと言うのは、
ちょっと思いつきません。
これは一種の時間テーマなのですが、
それとは別個に、
「死の1日前を何度も繰り返す」という設定も、
怪奇小説のジャンルでは昔からあって、
実際には死んでいて、成仏出来ずにループに入る、
というようなオチが定番でした。
「世にも奇妙な物語」などでも、
何度も取り上げられたネタですね。
単独でその設定だけでは、
長編映画1本は支えられない、という感じですが、
それをホラーと組み合わせて、
殺人鬼に殺されると前日に戻る、
という設定や、
恋愛ドラマと組み合わせる、
というような設定を付加して、
長編劇映画として1つのジャンルになった、
という感じもあります。
今回の映画は設定をちょっとひねっていて、
タイムループを繰り返している男がいて、
その人と一緒にある行動をすると、
他の人も巻き込まれてループに入る、
という趣向になっています。
以下ネタバレがありますので、
鑑賞予定の方は鑑賞後にお読み下さい。
まずある男性が目覚めるところから始まって、
友人の結婚式の日を過ごし、
新婦の妹の女性と良い雰囲気になるのですが、
その夜にいきなり男は謎の老人に襲われ、
それを追って洞窟に入ると、
その女性は同じ1日を繰り返すようになります。
男の方がタイムループの先輩で、
何千回もその同じ1日を繰り返しているのですが、
一緒に時空のねじれが生じている洞窟に入ると、
入った人も巻き込まれて同じ日を送るようになるのです。
男を襲った謎の老人も、
かつて男のタイムループに巻き込まれた1人で、
それを恨んで毎回襲撃を繰り返している、ということなのです。
タイムループを続けるカップルは、
次第にその環境に慣れ、
男の方はこの「永遠の繰り返し」を愛するようになるのですが、
女性の方は、元の世界に戻りたい、
という希望を捨てることが出来ません。
最後は特定の時間に洞窟の中の爆破に巻き込まれることで、
2人はループを脱出して、
元の世界に戻ります。
まあ、タイムループに見せかけた、
これは恋愛物なのですが、
人生を前向きに生きることをあきらめ、
愛する女性との現状維持の生活に、
充足と安らぎを見出している男と、
その男を愛してはいながら、
自分はその現状維持に生活には耐えられない、
と思う女性との恋の顛末についてのお話です。
タイムループの設定と、
この恋愛ドラマの設定が、
一致していると言う点がこの脚本の巧みさで、
オープニングは男が主人公と思わせて、
すぐに主客を逆転させたり、
殺人鬼に襲われる繰り返しと見せかけて、
謎の老人が実は男の犠牲者だという逆転など、
観客の予想を裏切る展開がなかなかで、
お金の取れる台本として、
映画祭で評価されたのも納得です。
ただ、殺人鬼も結局は出てこないので、
スリルの要素は希薄になりますし、
こうした作品の常で、
途中でループを繰り返すのが単調で眠気を誘います。
そんな訳で配信で充分かな、
という感じもあるのですが、
かなり頭を使って作り上げたB級映画の快作で、
こうした映画のお好きな方にはお勧めの1本です。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
これは2020年HULU製作の映画で、
アメリカと香港の合作です。
おそらく配信が主体の作品だと思いますが、
日本ではロードショー公開されています。
砂漠のリゾートを舞台にしたタイムループもので、
同じ1日を永遠に繰り返す、という設定のお話です。
その昔の古典SFに良くあったネタで、
どれがオリジナルかと言うのは、
ちょっと思いつきません。
これは一種の時間テーマなのですが、
それとは別個に、
「死の1日前を何度も繰り返す」という設定も、
怪奇小説のジャンルでは昔からあって、
実際には死んでいて、成仏出来ずにループに入る、
というようなオチが定番でした。
「世にも奇妙な物語」などでも、
何度も取り上げられたネタですね。
単独でその設定だけでは、
長編映画1本は支えられない、という感じですが、
それをホラーと組み合わせて、
殺人鬼に殺されると前日に戻る、
という設定や、
恋愛ドラマと組み合わせる、
というような設定を付加して、
長編劇映画として1つのジャンルになった、
という感じもあります。
今回の映画は設定をちょっとひねっていて、
タイムループを繰り返している男がいて、
その人と一緒にある行動をすると、
他の人も巻き込まれてループに入る、
という趣向になっています。
以下ネタバレがありますので、
鑑賞予定の方は鑑賞後にお読み下さい。
まずある男性が目覚めるところから始まって、
友人の結婚式の日を過ごし、
新婦の妹の女性と良い雰囲気になるのですが、
その夜にいきなり男は謎の老人に襲われ、
それを追って洞窟に入ると、
その女性は同じ1日を繰り返すようになります。
男の方がタイムループの先輩で、
何千回もその同じ1日を繰り返しているのですが、
一緒に時空のねじれが生じている洞窟に入ると、
入った人も巻き込まれて同じ日を送るようになるのです。
男を襲った謎の老人も、
かつて男のタイムループに巻き込まれた1人で、
それを恨んで毎回襲撃を繰り返している、ということなのです。
タイムループを続けるカップルは、
次第にその環境に慣れ、
男の方はこの「永遠の繰り返し」を愛するようになるのですが、
女性の方は、元の世界に戻りたい、
という希望を捨てることが出来ません。
最後は特定の時間に洞窟の中の爆破に巻き込まれることで、
2人はループを脱出して、
元の世界に戻ります。
まあ、タイムループに見せかけた、
これは恋愛物なのですが、
人生を前向きに生きることをあきらめ、
愛する女性との現状維持の生活に、
充足と安らぎを見出している男と、
その男を愛してはいながら、
自分はその現状維持に生活には耐えられない、
と思う女性との恋の顛末についてのお話です。
タイムループの設定と、
この恋愛ドラマの設定が、
一致していると言う点がこの脚本の巧みさで、
オープニングは男が主人公と思わせて、
すぐに主客を逆転させたり、
殺人鬼に襲われる繰り返しと見せかけて、
謎の老人が実は男の犠牲者だという逆転など、
観客の予想を裏切る展開がなかなかで、
お金の取れる台本として、
映画祭で評価されたのも納得です。
ただ、殺人鬼も結局は出てこないので、
スリルの要素は希薄になりますし、
こうした作品の常で、
途中でループを繰り返すのが単調で眠気を誘います。
そんな訳で配信で充分かな、
という感じもあるのですが、
かなり頭を使って作り上げたB級映画の快作で、
こうした映画のお好きな方にはお勧めの1本です。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2021-04-18 09:03
nice!(4)
コメント(0)
コメント 0