変異株検査の不透明さを憤る [仕事のこと]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
今日は最近驚いて憤ったことを話します。
クリニックでは発熱外来を行なっていて、
RT-PCR検査については大手の検査会社に検査を依頼しています。
以前も話題にしたように、
最初は結果が出るのに2日以上掛かり、
もっと早く結果を出して欲しいと言うと、
PCRの検査機器を変えることにより、
より迅速に結果を出すことが可能だと言われました。
精度に問題はないのかと聞くと、
それについては問題はない、という話だったので、
それなら早く結果の出る機器で検査をして欲しい、
という話をして、
そうした対応が取られることになりました。
ただ、実際にはそれほど結果が早く出るようになった訳ではありません。
翌日には結果のファックスが届くようになりましたが、
それは検査機器にはよらなかったようです。
2021年の3月以降は、
検査翌日の午後2時くらいに結果が届くようになったのですが、
それはどうやら検体数が少なかったからのようで、
検体数が多かったり検査でトラブルがあると、
翌日の夜になってしまうようなこともありました。
最近問題になっているのは勿論変異株です。
当初は一部の研究施設や大学病院、
感染症研究所でしか検査が出来なかったので、
検査会社から検体提出の指示があり、
それを感染症研究所に持ち込んで、
遺伝子解析が行われる、
というような段取りであったようです。
それが最近になって、
多くの検査会社でも、
おそらく多くはN501Yのみの検出だと思うのですが、
検査が可能になり、
陽性の事例においては、
全例で変異株の検査も同時に行われるようになりました。
その話を聞いたので、
数日前にクリニックで契約している大手の検査会社の、
営業担当の方に質問をしました。
変異株の検査はしているのですか、と聞くと、
疫学調査として感染症研究所から依頼があり、
自社で検査を行なっている、という答えでした。
陽性者は最近も複数出ているのですが、
変異株かどうかという点については、
一度も検査会社から連絡が来たことはありませんし、
それが結果報告書に記載されていた、
ということもありません。
それで、
「うちの出した検査でも変異株が検出されたことはあるのですか?」
と聞くと、
クリニックの検査を行なっている機器は、
変異株の検査に対応していないので、
今のところ検査はしていません、
という驚くような答えが返って来ました。
つまり、
その検査会社では2つの機器を用いてRT-PCR検査をしていて、
その一方は簡単に対応出来るので、
もう全例で変異株の検査をしているけれど、
クリニックが早く結果が出て精度は変わらない、
という触れ込みで選択した機器については、
対応が難しいので一切検査はしていない、
ということなのです。
仮にそうであるとしたら、
同じように検査をしているにも関わらず、
ある患者さんでは変異株の検査がされ、
別の患者さんでは、
他の条件は全く同じであるにも関わらず、
変異株の検査はされない、ということになります。
そんな不公平があって良いのでしょうか?
そもそも採用している機器の1つでは、
変異株の検査が出来ないのであれば、
それが分かった時点で、
こちらに説明するべきではないでしょうか?
「今使っている機器では変異株の検査が出来ないので、
どうしますか?」
という説明が当然あってしかるべきではないでしょうか?
しかし、実際にはそんな説明は何もなく、
何1つ事前には知らされてはいないのです。
理不尽なことはこれだけではありません。
今後は変異株の検査をして、
その結果を教えてくれますか、と検査会社に聞くと、
「直接医療機関に通知することは認められていません」
という返事です。
クリニックが依頼して行った検査です。
RT-PCR検査をして陽性であったので、
それで付随して行う検査が変異株の検査である筈です。
にもかかわらず、
その結果は依頼した医療機関に直接伝えてはいけない、
と言うのです。
一体誰が何の権限があってそんな決まりを作っているのでしょうか?
それは国立感染症研究所の指示だ、
という答えでした。
これは伝聞ですので正確ではないかも知れませんが、
少なくとも検査会社の担当者と、
別の検査会社の担当者も同じ答えでした。
感染症研究所の指示により、
検査会社は陽性の検体に対して、
変異株の検査を追加で行なっているのですが、
その結果は直接医療機関に伝えることはせず、
感染症研究所にのみ連絡せよ、
という指示なのです。
感染症研究所はその結果を取りまとめて、
今度は市町村や保健所に結果を流しているのです。
保健所で変異株として処理された後、
今度は保健所から医療機関に通知される、
という段取りであるようです。
これはね、
まだ疫学研究の段階であったり、
抽出して調査をしている、
という段階であれば理解は出来るのですね。
ただ、理解はしても納得は出来ないですね。
あまりに医療機関を馬鹿にしているでしょ。
患者さんの検査に関わる情報というのは、
第一に主治医に報告されるべき事項でしょ。
それを「するな」と言っているんですね。
それはあまりにひどいのじゃないかしら。
しかもね、今は疫学調査の段階ではないでしょ。
もう変異株がまん延していて、
その対策が行われている状況ですよね。
変異株かそうでないかで、
臨床上の対応も変わる事態ですよね。
クリニックがお願いしている検査会社は、
大手の行政検査受託機関であるにもかかわらず、
一部の検査機器でしか変異株の検査はせず、
そのことも聞かれないと教えてもくれない、
という論外の対応ですが、
多くのまっとうな検査会社は、
陽性検体の多くで、
変異株の検査もしているのが実際なんですね。
その今日に至ってなお、
検査結果はすぐには主治医に教えるな、
という対応はこれはあまりにひどいのではないでしょうか?
人外の仕業とでも言うべき蛮行ではないかしら。
まとめるとこういうことです。
皆さんは変異株の検査というものが、
系統的に行われていると思われるかも知れませんが、
実際にはそんなことはなくて、
検査機関によって、
かなり恣意的に検査がされたり、
されなかったりしているのです。
実際に検査がされているのは一部の検体に過ぎないのですが、
検査がされないと「通常株」と同じ対応がされ、
それを誰も疑いません。
そんな状態ですから、
変異株の患者を隔離するとかしないとか、
真面目に議論をする先生がいますが、
それはもうナンセンスの極みなのです。
行政検査をしている検査会社に限れば、
もう全例で変異株の検査は出来る体制なんですよ。
だからそれを義務づければいいのに、
現状はそうしていないんですね。
だから、利潤追求の民間の会社は、
全例での検査はしていないのです。
恣意的な対応を許している現状では、
変異株の広がりの実態など分からないのです。
また、医療機関で検査をすれば、
変異の情報は医療機関に伝えられるのかと言うと、
そうではなくて、
感染症研究所がその情報は一手に握っていて、
医療機関にすぐに情報を流すことを禁じているのです。
末端の医療機関もね、
非力なことは承知の上で、
精一杯頑張っているのですよ。
それでこの仕打ちはないのじゃないかなあ。
今日は少し落ち着いていますが、
昨日はかなり自暴自棄になってしまいました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
今日は最近驚いて憤ったことを話します。
クリニックでは発熱外来を行なっていて、
RT-PCR検査については大手の検査会社に検査を依頼しています。
以前も話題にしたように、
最初は結果が出るのに2日以上掛かり、
もっと早く結果を出して欲しいと言うと、
PCRの検査機器を変えることにより、
より迅速に結果を出すことが可能だと言われました。
精度に問題はないのかと聞くと、
それについては問題はない、という話だったので、
それなら早く結果の出る機器で検査をして欲しい、
という話をして、
そうした対応が取られることになりました。
ただ、実際にはそれほど結果が早く出るようになった訳ではありません。
翌日には結果のファックスが届くようになりましたが、
それは検査機器にはよらなかったようです。
2021年の3月以降は、
検査翌日の午後2時くらいに結果が届くようになったのですが、
それはどうやら検体数が少なかったからのようで、
検体数が多かったり検査でトラブルがあると、
翌日の夜になってしまうようなこともありました。
最近問題になっているのは勿論変異株です。
当初は一部の研究施設や大学病院、
感染症研究所でしか検査が出来なかったので、
検査会社から検体提出の指示があり、
それを感染症研究所に持ち込んで、
遺伝子解析が行われる、
というような段取りであったようです。
それが最近になって、
多くの検査会社でも、
おそらく多くはN501Yのみの検出だと思うのですが、
検査が可能になり、
陽性の事例においては、
全例で変異株の検査も同時に行われるようになりました。
その話を聞いたので、
数日前にクリニックで契約している大手の検査会社の、
営業担当の方に質問をしました。
変異株の検査はしているのですか、と聞くと、
疫学調査として感染症研究所から依頼があり、
自社で検査を行なっている、という答えでした。
陽性者は最近も複数出ているのですが、
変異株かどうかという点については、
一度も検査会社から連絡が来たことはありませんし、
それが結果報告書に記載されていた、
ということもありません。
それで、
「うちの出した検査でも変異株が検出されたことはあるのですか?」
と聞くと、
クリニックの検査を行なっている機器は、
変異株の検査に対応していないので、
今のところ検査はしていません、
という驚くような答えが返って来ました。
つまり、
その検査会社では2つの機器を用いてRT-PCR検査をしていて、
その一方は簡単に対応出来るので、
もう全例で変異株の検査をしているけれど、
クリニックが早く結果が出て精度は変わらない、
という触れ込みで選択した機器については、
対応が難しいので一切検査はしていない、
ということなのです。
仮にそうであるとしたら、
同じように検査をしているにも関わらず、
ある患者さんでは変異株の検査がされ、
別の患者さんでは、
他の条件は全く同じであるにも関わらず、
変異株の検査はされない、ということになります。
そんな不公平があって良いのでしょうか?
そもそも採用している機器の1つでは、
変異株の検査が出来ないのであれば、
それが分かった時点で、
こちらに説明するべきではないでしょうか?
「今使っている機器では変異株の検査が出来ないので、
どうしますか?」
という説明が当然あってしかるべきではないでしょうか?
しかし、実際にはそんな説明は何もなく、
何1つ事前には知らされてはいないのです。
理不尽なことはこれだけではありません。
今後は変異株の検査をして、
その結果を教えてくれますか、と検査会社に聞くと、
「直接医療機関に通知することは認められていません」
という返事です。
クリニックが依頼して行った検査です。
RT-PCR検査をして陽性であったので、
それで付随して行う検査が変異株の検査である筈です。
にもかかわらず、
その結果は依頼した医療機関に直接伝えてはいけない、
と言うのです。
一体誰が何の権限があってそんな決まりを作っているのでしょうか?
それは国立感染症研究所の指示だ、
という答えでした。
これは伝聞ですので正確ではないかも知れませんが、
少なくとも検査会社の担当者と、
別の検査会社の担当者も同じ答えでした。
感染症研究所の指示により、
検査会社は陽性の検体に対して、
変異株の検査を追加で行なっているのですが、
その結果は直接医療機関に伝えることはせず、
感染症研究所にのみ連絡せよ、
という指示なのです。
感染症研究所はその結果を取りまとめて、
今度は市町村や保健所に結果を流しているのです。
保健所で変異株として処理された後、
今度は保健所から医療機関に通知される、
という段取りであるようです。
これはね、
まだ疫学研究の段階であったり、
抽出して調査をしている、
という段階であれば理解は出来るのですね。
ただ、理解はしても納得は出来ないですね。
あまりに医療機関を馬鹿にしているでしょ。
患者さんの検査に関わる情報というのは、
第一に主治医に報告されるべき事項でしょ。
それを「するな」と言っているんですね。
それはあまりにひどいのじゃないかしら。
しかもね、今は疫学調査の段階ではないでしょ。
もう変異株がまん延していて、
その対策が行われている状況ですよね。
変異株かそうでないかで、
臨床上の対応も変わる事態ですよね。
クリニックがお願いしている検査会社は、
大手の行政検査受託機関であるにもかかわらず、
一部の検査機器でしか変異株の検査はせず、
そのことも聞かれないと教えてもくれない、
という論外の対応ですが、
多くのまっとうな検査会社は、
陽性検体の多くで、
変異株の検査もしているのが実際なんですね。
その今日に至ってなお、
検査結果はすぐには主治医に教えるな、
という対応はこれはあまりにひどいのではないでしょうか?
人外の仕業とでも言うべき蛮行ではないかしら。
まとめるとこういうことです。
皆さんは変異株の検査というものが、
系統的に行われていると思われるかも知れませんが、
実際にはそんなことはなくて、
検査機関によって、
かなり恣意的に検査がされたり、
されなかったりしているのです。
実際に検査がされているのは一部の検体に過ぎないのですが、
検査がされないと「通常株」と同じ対応がされ、
それを誰も疑いません。
そんな状態ですから、
変異株の患者を隔離するとかしないとか、
真面目に議論をする先生がいますが、
それはもうナンセンスの極みなのです。
行政検査をしている検査会社に限れば、
もう全例で変異株の検査は出来る体制なんですよ。
だからそれを義務づければいいのに、
現状はそうしていないんですね。
だから、利潤追求の民間の会社は、
全例での検査はしていないのです。
恣意的な対応を許している現状では、
変異株の広がりの実態など分からないのです。
また、医療機関で検査をすれば、
変異の情報は医療機関に伝えられるのかと言うと、
そうではなくて、
感染症研究所がその情報は一手に握っていて、
医療機関にすぐに情報を流すことを禁じているのです。
末端の医療機関もね、
非力なことは承知の上で、
精一杯頑張っているのですよ。
それでこの仕打ちはないのじゃないかなあ。
今日は少し落ち着いていますが、
昨日はかなり自暴自棄になってしまいました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2021-04-16 06:13
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コメント(1)
石原先生、ご無沙汰してすみません。久々にブログ拝読しました。同感です。先生の怒りに激しく同意します。おっしゃる通りです。もう昨年の4月頃から、感染症研究所のやってることはおかしい、と私はずっと腹を立てていましたが、今もまだこのありさまなのですね。あきれ果ててしまいます。これだもの。日本のコロナ対策がうまくいってないのも当然ですよね。いろいろな面で太平洋戦争時の失敗と似ていて、日本の組織人がずっと抱えていて未だに治らない病なのでしょうか。暗澹たる気持ちになります。
by 川口京子 (2021-04-26 01:01)