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認知症に伴う抑うつ症状はどう治療するべきか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
認知症の抑うつ症状に対する非薬物治療の有効性.jpg
British Medical Journal誌に、
2021年3月24日ウェブ掲載された、
認知症に伴ううつ症状の治療についての論文です。

認知症ではその16%に、
大うつ病の診断基準を満たすという報告があります。
その一方で認知症の32%には、
大うつ病の診断基準は満たさない、
うつ病の症状が見られる、という報告もあります。

こうした認知症に伴ううつ症状に対して、
しばしば抗うつ剤などによる薬物治療が行われますが、
それが大うつ病の際と同じように有効であるのか、
という点については、
あまり明確なことが分かっていません。

今回の研究は、
これまでの主な臨床データをまとめて解析した、
ネットワークメタ解析ですが、
認知症に伴う抑うつ症状が、
大うつ病の診断を満たす場合と満たさない場合とに分けて、
抗うつ剤などによる薬物治療と、
運動療養や心理療法、ペット療法などの非薬物療法との、
有効性の比較を行っています。

その結果、
大うつ病の診断基準を満たさない場合、
認知症に伴ううつ症状に対して、
非薬物治療は通常治療と比較してうつ症状に対する有効性があり、
その一方で薬物治療は通常治療と比較して、
有意な有効性を示しませんでした。

大うつ病の診断基準を満たすうつ症状が、
認知症に見られるようなケースでは、
臨床データのばらつきが大きく、
ネットワークメタ解析は施行が出来ませんでした。

このように、
認知症に合併するうつ症状については、
それが大うつ病の診断基準を満たさない限り、
うつ病の薬物治療が有効であるとする根拠はなく、
非薬物療法の可能性を、
第一選択として考える必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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