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「ほんとうのハウンド警部」(2021年小川絵梨子演出版) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも須田医師が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ほんとうのハウンド警部.jpg
トム・ストッパードの初期のメタフィクション的お芝居が、
今渋谷のシアターコクーンで上演されています。

以下少しネタバレがあります。
まだ上演中ですので、
感激予定の方は観劇後にお読み下さい。

これは1時間15分ほどの短いお芝居で、
最初に劇評家2人が劇場の客席で出会い、
2人が観ているミステリー芝居が、
実際に再現して演じられます。
舞台に出演している女優と劇評家の1人に関係があったことから、
劇評家の1人が舞台上に上がると舞台の一部になってしまい、
最終的には劇評家は2人とも舞台に取り込まれ、
そして死んでしまいます。

非常に才気迸るという感じの技巧的なお芝居で、
上演したくなる気持ちは分かります。
短いところも魅力ですね。
端役まで必要以上に豪華な顔ぶれなので、
おそらくはもう少し大作を上演するつもりであったのが、
コロナ禍のため上演時間の短い作品に、
変更されたのではないか、と推察されます。

ただ、難しいのは客席と舞台という関係性を、
どのようにして演出するかという点です。

普通に考えると、
本物の客席の一部で、
評論家2人が議論するような演出を、
したくなります。

しかし、客席の一部で演技をするのは、
声も通りにくいですし、
何より見づらいですよね。

小劇場ならまた別ですが、
通常の中劇場以上での演出としては、
あまり効果的ではないという気がします。

これが蜷川幸雄さんであれば、
無理矢理でも客席でのお芝居を実現されたのではないか、
という気がします。
コクーンであれば客席の一部と取り払うようなことが出来ますから、
舞台前方の中央部の客席を廃して、
それを別舞台にして上演したのではないでしょうか?

ただ、今回の演出の小川絵梨子さんは、
そうした方法はとらず、
客入れの時には舞台に鏡を設置して、
本当の客席が舞台の鏡に映り込むようにして、
舞台が始まると、
その後方に客席が現れる、
という趣向で演出しています。

これはこれでちょっと詰まらなくはあるのですね。
舞台上で全てが完結してしまうので、
せっかくのメタフィクション的な趣向が、
あまり意味のないものになってしまうからです。

その点の不満はあるのですが、
端役まで非常に豪華な顔ぶれで、
まずは演劇の愉楽を楽しむことが出来ました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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