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新型コロナ回復後の呼吸器症状と肺機能 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COVID-19感染後の肺機能.jpg
European Respiratory Journal 誌に2021年掲載された、
新型コロナウイルス感染症回復後の呼吸器症状についての論文です。

新型コロナウイルス感染症の多くは軽症のまま回復します。
これは基本的に変異株以外での集計と思いますが、
症状のある事例のうち81%は軽症で、
感染事例のうち半数近くは無症状と報告されています。

ただ、その一方で軽症の事例であっても、
回復後の体調不良が続くことが、
意外に多いことも次第に明らかになってきています。

クリニックでもそうした感染回復後の、
体調不良や気管支炎様の症状、息切れや微熱などの症状が、
長期間持続するケースを複数経験しています。

今回の検証はドイツにおいて、
新型コロナウイルス感染症と遺伝子検査で診断された患者、
トータル246例を登録し、
感染確認後68±16日(概ね2ヶ月)の時点で、
症状の聞き取りや肺機能検査などを施行しているものです。

患者の年齢は48±15歳で、
91%に当たる224名は未治療で入院も要さず改善しています。
ただ、症状自体は99%に当たる244名で見られています。
入院を要した22名中、集中治療室に入室したのは2名のみでした。

2ヶ月後の経過観察の時点で、
46%に当たる113名には症状がまだ残存していました。
嗅覚障害は感染の時点では66%に当たる162名に認められ、
2ヶ月後にも10名には残存していました。
特に残存率が多かったのは呼吸器症状で、
咳は感染の時点で159名(65%)に認められ、2ヶ月後にも35名(14%)に残存、
呼吸困難に至っては、
感染の時点で76名(31%)であったものが、
2ヶ月後に79名(32%)とむしろ回復後に増えている、
という結果でした。

呼吸機能の幾つかの指標では、
無症状者と比較して有症状者で有意に低いものがあり、
CT検査が施行された17名では、
71%に浸潤影、64%にすりガラス様陰影と、
間質性肺炎の所見が残存していることも確認されました。

このように、発症後2ヶ月を経過した段階においても、
感染者の半数では症状は残存していて、
その全てではありませんが、
肺の炎症などが残存して、
呼吸機能にも影響を与えている可能性が示唆されました。

この病気は軽症が大多数である一方で、
完全な回復にはかなり長期間を要するという特徴があり、
そうした点を踏まえての患者さんのフォローが、
医療の立場からは重要であるように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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