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「花束みたいな恋をした」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
花束みたいな恋をした.jpg
テレビの恋愛ドラマの第一人者である、
坂元裕二さんのオリジナル脚本を、
こちらもテレビ畑の演出家である土井裕泰監督が演出し、
菅田将暉さんと有村架純さんのゴールデンコンビが主演した恋愛映画が、
今ロードショー公開されています。

如何にも薄手のテレビドラマの映画版、
という感じになりそうな素材ですが、
土井裕泰監督は「麒麟の翼」も良かったですし、
「罪の声」も良かったですよね。
ラストのオチがテレビドラマ的なのがいつも難点ですが、
昔の日本映画を良く研究していることが分かる仕上がりで、
堂々たる日本映画になっていました。

今回もねえ、なかなかいいんですよ。
昔のATG映画みたいな青春映画で、
泥臭いところを充分に残しながら、
全体としては縦横に伏線を張り巡らして、
とてもスタイリッシュに仕上げているんですね。
しつこいくらいにナレーションが入って、
ところどころはうるさく感じる部分もあるのですが、
ポイントになるファミレスの2つの場面は、
じっくりと腰を据えて、
ナレーションに頼らず繊細に仕上げていますよね。
あの2つの場面は長さから見て、
テレビでは無理な場面であったと思います。

この2つの場面はね、
かなり凄いと思います。
後半の場面は泣けますし、
ちょっとこれまでの恋愛ドラマに、
あまりなかったセンスですよね。
重層的な仕掛けがとても効いています。
前半のプロポーズも、
工夫された演出の勝利という感じです。
いいですよ。

これね、好きな本とか音楽とか映画とか生き方とか、
全部がとてもマッチして好きになった2人の話なんですね。

こういうカップルはいますよね。
僕は正直そういうのはないんですね。
そうした人は実際にいて、
羨ましいなあ、というようには思います。
僕の場合は好きなものの話をうっかりするでしょ。
「石原君はどうせそんなものが好きよね」
みたいな言われ方をして、
「畜生、もう絶対好きなものの話なんてしないぞ」
と後悔する、という感じの人生でした。

映画の「ロボコップが好きだ」と言っただけで、
後輩から酔っ払って殴られたこともありましたね。
いや「ロボコップが嫌いだ」と言って、殴られたのかな?
もうどちらなのかすら覚えていません。

好きなもののことを、
普通に好きだと言ったり書いたり出来るようになったのは、
多分相当最近のことです。

価値観や好きなものが同じ2人が同棲して一緒になるでしょ。
経験的にはそうしたカップルは結構上手くいっていますね。
色々とそれなりに山も谷もあると思いますが、
結構上手く切り抜けていくのではないでしょうか?

だから、個人的にはこの話は、
それほどリアルではないと思うのですが、
そうした点も含めて、
フィクションとしては極めて巧みに出来ていると思います。
わざわざ少しありそうにない方に振るのが、
こうした物語のコツで、
そこにリアルさを錯覚させられるかどうかが、
腕の見せ所なのだと思います。

2015年から2020年の、
色々なサブカル的ガジェットが登場しますが、
僕の守備範囲では、
ままごとの「わたしの星」と押井守さん、
舞城王太郎さん、今村夏子さん辺りは好きです。
これ「わたしの星」の再演は僕も観ているのですが、
ちゃんとその時に撮影しているんですね。
ただ、演劇マニアとしては、
主人公の2人は演劇好きとはとても思えないので、
「わたしの星」に行った必然性が、
何か書き込まれていた方が良かったのに、
というようには思いました。

芝居も主役2人ともとてもいいですよ。
有村架純さんはこれが代表作と言ってもいい出来映え。
菅田将暉さんは少し損な役回りなので、
これを代表作と言ったら失礼なのですが、
菅田さんはこういう観客に反発を感じさせる役柄を、
それほど不快にさせずに演じるのが上手いですね。

いずれにしても恋愛映画というジャンルを、
少しアップデートした感のある力作で、
観る人によって感じ方は多分かなり違うと思いますが、
今年必見の日本映画であることは間違いがありません。

相当お勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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