SSブログ

新型コロナウイルスmRNAワクチンの全身性アレルギー症状(ファイザー/ビオンテック) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ファイザーワクチンのアナフィラキシー.jpg
JAMA誌に2021年1月21日ウェブ掲載された、
ファイザーなどによるmRNAワクチンの、
アナフィラキシーの報告についての短報です。

複数の新型コロナウイルス感染症のワクチンが、
既に国外では接種が進んでいますが、
その一番手と言って良く、
日本でもおそらく最初に集団接種に使われると思われるのが、
ファイザー社とビオンテック社によるmRNAワクチンです。

2020年12月14日から23日の間にアメリカで施行された、
このワクチンの1893360回の初回接種において、
全身性アレルギー症状であるアナフィラキシーが、
21例報告されています。

これは100万回の接種当たり11.1件、
という頻度になります。

このうち4人は重症で入院となり、
3人は集中治療室に入っています。
81%に当たる17名は救急外来での治療を受け、
20名は上記報告の時点で回復しています。
死亡者は出ていません。

ワクチン接種から症状出現までの時間は、
中間値で13分(2から150分)で、
71%に当たる15人は15分以内に、
86%に当たる18人は30分以内に発症しています。
典型的な症状は蕁麻疹、血管性浮腫、発赤、
のどの閉塞感などです。

81%に当たる17名には、
何らかのアレルギーの既往があり、
33%に当たる7名にはアナフィラキシーの既往がありました。

このように、
ファイザー/ビオンテック社の新型コロナウイルスワクチンの、
主な副反応であるアナフィラキシーは、
頻度的には10万接種に1例程度で、
アレルギー素因のある接種者に多く発症しています。

この頻度は現時点では、
基本的には安全な基準を満たしたものだと言えますが、
アレルギー素因のある人に多く発症していて、
接種の際には問診が重要であると共に、
接種後30分の観察は必須であると考えられます。

こうした点を踏まえて、
日本においても慎重に接種が施行され、
副反応のデータも収集分析されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。