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「無頼」(井筒和幸監督新作) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
無頼.jpg
井筒和幸監督の8年ぶりの新作は、
「ゴッドファーザー」と「仁義なき戦い」を、
強く意識した正調の昭和ヤクザ抗争映画で、
今ではあまりない昭和の熱量に満ちた力作です。

内容はまあ、下敷きになっている物語は、
「仁義なき戦い」と同じなんですね。
それを1つの家族の絆の物語に再構成しているところは、
「ゴッドファーザー」と丸かぶりですね。
そんな訳で物語にオリジナリティはまるでないのですが、
オープニングから戦後のドタバタの時期に、
不良少年が下品に大暴れして、
どうしようもない酒浸りの父親をぶん殴って、
という辺りは井筒監督ならではの楽しさです。

キャストもなかなかいいんですよね。
主役の松本利夫さんは、
その癖のある感じがリアルで悪くないですね。
もっと別のキャスティングも勿論ありなのですが、
松本さんを選んだ辺りは1つの見識だと思います。
脇のキャストがね、いいんですよね。
松本さんの子分に松角洋平さんや中村達也さん、
阿部亮平さんと、魅力のある強面が並ぶでしょ。
この辺りのキャストは、
「仁義なき戦い」と比べても遜色ないと思います。

一方でゲスト待遇的なキャストは、
升毅さんにしても木下ほうかさんにしても、
置きに行った感じの芝居で今ひとつでした。

ここまではまあ、いいんですが、
映画として完成度が高いかと言うと、
それはそうではないんですね。

2時間半近い長尺なのですが、
それでも結構1つ1つの場面はダラダラしている一方で、
そのエピソードの解決がつかないまま終わってしまったり、
大事なキャラが途中で消えてしまったり、
というようなことが多く、
「大事な場面が撮り切れていない」
という印象の強い作品です。
監督としても時間を含めて、
思うように撮れなかった作品だったのではないかと推察します。

ラストも主人公が安易に死なないのはいいのですが、
アジアの恵まれない子ども達を助けに旅立つ、
というラストには脱力してしまいました。

井筒監督の新作としては、
ほぼ単館のミニシアターのロードショーで、
きっかり4週間で終了というのは、
ちょっと寂しい感じがします。

そんな訳で完成度は低い作品ですが、
井筒監督らしい力の入った王道ヤクザ映画で、
お好きな方には観て損はないと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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