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「スパイの妻」(黒沢清監督) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
スパイの妻.jpg
黒沢清監督の新作が今ロードショー公開されています。

厳密に言えばNHKのドラマの映画仕様、
ということのようですが、
黒沢監督は大好きなのでこれはもう見逃せないと、
映画館に向かいました。

黒沢監督は以前から、
テレビドラマとして先行して、
その後劇場公開、というような作品が、
比較的多いですね。
それがいずれも評価が高い、
というところも特徴です。

1940年を舞台として、
高橋一生さん演じる謎めいた貿易商と、
蒼井優さん演じるその妻が、
ある軍の機密を巡って心理戦を演じるという物語。

黒沢監督としては異質な感じもする素材ですが、
監督自身の言葉などを読むと、
これまではあまり扱わなかったテーマに、
敢えて取り組んでみたかった、
ということのようです。

この素材をこうした映画にすることには、
ちょっと疑問に思うところもあるのですが、
映像としては凝りに凝っていて、
黒沢監督の技巧的な世界を、
存分に味わうことが出来ます。

今回はフリッツ・ラングのような、
第二次大戦前後のスパイ映画の様式を、
なぞっているような感じがあります。
台詞は今の映画としては時代色を上手く出していて、
擬古典というようなスタイルです。
ちょっと森田芳光監督の「それから」を思い浮かべました。

高橋一生さん、蒼井優さん、いずれも、
かなり充実した熱演で見応えがあります。
2人の幼馴染の憲兵役の東出昌大さんを含めて、
いずれも底の知れない、
得体の知れない役者が3人揃ったという感じです。

そんな訳で素材の扱いを除けば、
黒沢監督の映画技巧が堪能出来る作品で、
その陰影豊かな映像美を含めて、
大きなスクリーンで体感する意義のある映画だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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