SSブログ

「ミッドナイトスワン」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ミッドナイトスワン.jpg
「全裸監督」などで好調の、
内田英治さんが原作・脚本・監督をつとめ、
草薙剛さんが主役のトランスジェンダーを演じた、
「ミッドナイトスワン」を観て来ました。

これはなかなか良いですよ。

今年の邦画の中で、
そのインパクトの強さで言えば、
「37セカンズ」と双璧ではないかしら。

特に前半は本当に素晴らしいんですよね。
色彩も美しいし、繊細で叙情的な描写がいいですね。
これは生涯の1本になるかもしれない、
というくらいに惚れ込んで観ていました。
ただ、後半が何かバタバタと展開して、
唐突な展開も多くて、
ちょっとボルテージが下がりました。
もう少し繊細なまま、あまりドラマチックな部分はなくて、
さらっと終わった方が良かったのじゃないかしら、
というように思いました。
それでも、トータルに見ても良い映画ですよね。

控えめに言って、お勧め!です。

これね、ヨーロッパ映画みたいなんですよね。
「老いた娼婦が少女の成長を見守る」という、
昔良くあったお話の現代版なんですね。
からかわれた少女が突然机を投げつけたり、
トリュフォーみたいですよね。
ラストは「ベニスに死す」を彷彿とさせました。

草薙剛さんもいいんですが、
バレエで頭角を現す内向的で精神的にも未熟な少女を演じた、
服部樹咲さんという新人の女の子が、
これはもう抜群ですよね。
バレエも本当に踊れるので説得力がありますし、
それだけではなく内向的な少女が、
少しずつ心を開いてゆく感じがね、
抜群にリアルで素敵です。
最初に練習に参加するところとか、
草薙さんと2人で野外で踊るところとか、
とてもとても繊細で美しくて心に残ります。

ラストの展開がちょっとね、
小説版を読むと、少女が広島に連れ戻されるところとか、
草薙さんを中学を卒業して探しに行くところとか、
そこに至る段取りが書き込まれているのですが、
それをはしょってしまっているので、
流れが悪くて少し残念な感じです。
ラストは少女は入水してしまうのだと思うのですが、
その後にニューヨークで成功する姿をくっつけているので、
幻想と現実どちらで解釈してもいいよ、
ということなのだと思いますが、
少し分かりにくくなってしまったような気がします。

草薙さんは上手いとは思わないですし、
決して役柄にも合っているとは思わないのですが、
それでも不思議に唯一無二の存在感があります。
凄みのある芝居でした。
それから少女の母親を演じた水川あさみさんが、
ちょっと最初は別人かと思うほど、
やりきった感がお見事でした。

そんな訳でやや扇情的で説明過多の部分は、
好みが分かれるとは思いますが、
非常に純度の高い繊細で美しい映画で、
主役2人の凄まじい芝居を見るだけでも、
映画館に足を運ぶ値打ちは充分にあると思います。

ご興味のある方は是非。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。