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リンゴの抗癌作用 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
リンゴと癌リスク.jpg
Journal of Food and Drug Analysis誌に掲載されたレビューですが、
リンゴとその含有するフラボノイドが、
癌のリスクに与える影響についての内容です。

昨日のブログでもご紹介したように、
リンゴを1日50グラム程度摂ることで、
肺癌のリスクが有意に低下した、
という大規模疫学データが存在しています。
また、別個の報告で1日1個以上リンゴを食べることで、
大腸癌のリスクが50%近く低下した、
とするデータも発表されています。

仮にこれが事実であるとすると、
一体どのようなメカニズムが、
発癌を抑制しているのでしょうか?

上記文献の著者らが最近注目しているのは、
リンゴに含まれるフロレチンというフラボノイドです。

こちらをご覧下さい。
図リンゴと癌リスクの.jpg
フロレチンはリンゴの葉や皮に多く含まれるフラボノイドで、
実験的なデータにおいて、
細胞の中にブドウ糖を運ぶという働きを持つ、
グルコーストランスポーターの1つ、
GLUT2を阻害するという働きを持っています。

このタンパク質は勿論正常の細胞にも存在していますが、
癌細胞でより多く発現しているので、
その阻害作用が癌細胞の細胞死や転移の抑制に、
有効である可能性が示唆されているのです。
実験的なデータでは大腸癌の培養細胞において、
その増殖が抑制される効果が確認されています。

これまでフラボノイドの癌予防効果というと、
抗酸化作用や抗炎症作用が主に論じられていましたが、
今回の知見はそうしたやや漠然としたものではなく、
より具体的なもので、
今後の検証に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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