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イチゴの腸内細菌改善効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
イチゴの腸内細菌改善効果.jpg
2019年のJ Nutr Biochem誌に掲載された、
イチゴの腸内細菌改善効果を検証した論文です。

アントシアニンというのは、
植物由来のフラボノイドの一種で、
イチゴやブルーベリー、ブドウなどに多く含まれ、
イチゴの赤い色やブドウの皮の赤色を発色する色素でもあります。
赤いブドウから作られた赤ワインにも多く含まれています。

このアントシアニンには降圧作用、
抗酸化作用、動脈硬化進行予防効果などの多くの効果が、
疫学研究や観察研究のレベルでは報告されています。

アントシアニンは多くの果実などに含まれていますが、
臨床的に報告の多いのはイチゴです。
イチゴにはアントシアニン以外に、
ビタミンCが豊富に含まれていることも特徴です。

多くの動物実験や一部の臨床データにおいて、
アントシアニンそのものではなく、
イチゴの抽出物が使用されていて、
多くの病気に対する有効性が確認されています。

糖尿病のモデルマウスにおいて、
血管の炎症を抑制して動脈硬化の進行を予防するような効果が、
報告されていますし、
人間においてもイチゴにより心筋梗塞は肥満の予防効果が、
報告されています。

アントシアニンはそのままでは身体に殆ど吸収されず、
腸内細菌や消化酵素の働きで、
複数の代謝物に分解されます。
そのため、大腸における効果がより強いのではないか、
という考え方が最近注目されています。

実際、マウスの実験では、
イチゴの抽出物が炎症性腸疾患を予防し、
大腸癌の発生を抑制する、
という複数の結果が報告されています。

今回の研究では糖尿病のモデルマウスを使用して、
イチゴの抽出物を摂取させることによる、
腸内細菌叢の変化を検証しています。

その結果、
糖尿病マウスにイチゴの抽出物を摂取させることにより、
糖尿病で減少している腸内細菌のビフィズス菌が、
イチゴの摂取により増加に転じることが確認されています。

この知見は単独ではそれほど意味のあるものではありませんが、
これまでの多くの知見と共に考えると、
イチゴが腸内細菌叢を改善して腸の炎症を抑え、
肥満や大腸癌にも予防的に働くことは、
かなり確からしいと考えて良いように思います。

今後このイチゴの健康効果が、
アントシアニンによるものなのか、
それとも他の代謝物やビタミンCなどとの相互作用によるものなのか、
といった点を含めて、
より実証的に検証されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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