「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で須田医師が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
2019年のポーランド・イギリス・ウクライナ合作映画で、
ウェールズ出身の若いジャーナリストを主人公に、
スターリン政権下のソ連ウクライナ(当時)で、
無理な政策により人為的に起こった飢饉の真実を、
世界に伝えようと苦闘する姿を描いた社会派映画を観て来ました。
題材となっているのは、
ホロドモールと呼ばれるウクライナの人為的飢饉で、
1930年代の初め、スターリンが外貨獲得のために、
小麦を無理に量産して、
それによりウクライナの農民が飢餓状態で大量死し、
カニバリズムも横行する事態となったのですが、
その実体は政権により隠蔽され、
囲い込まれたジャーナリストや文化人も、
ソ連の偉業を礼賛して不都合な真実には目を瞑った、
という出来事です。
飢饉があったことは事実ですが、
そこにスターリンの関与が何処まであったのかについては、
色々な見方もあるところですが、
今回の映画はウクライナも制作に加わって、
明確にスターリンと、
当時のソ連に迎合した大物ジャーナリストを、
完全に「悪」として描く立場です。
何処まで事実通りなのかは分かりませんが、
主人公の向こう見ずな若いジャーナリストが、
なかなか無謀で魅力的で、
スターリンにインタビューしたいと興味を持つと、
あらゆるコネを使い、紹介状を捏造までして、
モスクワに潜り込み、更にウクライナに潜入します。
特にウクライナの悪を糾弾して失敗した後、
新聞王ハーストに食らいつくところなど、
その執念としぶとさには、
思わず拍手したい気分になりました。
ただ、惜しいと思うのは、
肝心のウクライナの飢饉の描写が、
ただ雪に埋もれた寒村を主人公がうろうろしているだけ、
という感じで面白みも説得力もないことで、
ここはその悲惨さを明確に知らしめるような、
分かり易く決定的な「画」が、
必要ではないかと感じました。
また、キャラも主人公以外は、
善悪が明確な割には立っておらず、
ヒロインもモヤモヤした感じですし、
オーウェルの登場も何か中途半端でガッカリします。
トータルには、
かつてのイギリスの社会派娯楽大作という感じなのですが、
その割には小粒でキャラ造形も展開も弱く、
「せっかく良い素材なのに…」と物足りなくなる思いはありました。
そんな訳で今ひとつの映画ではあるのですが、
イギリス製の社会派娯楽映画の好きな方でしたら、
興味深い素材と共に観て損はない作品ではあると思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で須田医師が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
2019年のポーランド・イギリス・ウクライナ合作映画で、
ウェールズ出身の若いジャーナリストを主人公に、
スターリン政権下のソ連ウクライナ(当時)で、
無理な政策により人為的に起こった飢饉の真実を、
世界に伝えようと苦闘する姿を描いた社会派映画を観て来ました。
題材となっているのは、
ホロドモールと呼ばれるウクライナの人為的飢饉で、
1930年代の初め、スターリンが外貨獲得のために、
小麦を無理に量産して、
それによりウクライナの農民が飢餓状態で大量死し、
カニバリズムも横行する事態となったのですが、
その実体は政権により隠蔽され、
囲い込まれたジャーナリストや文化人も、
ソ連の偉業を礼賛して不都合な真実には目を瞑った、
という出来事です。
飢饉があったことは事実ですが、
そこにスターリンの関与が何処まであったのかについては、
色々な見方もあるところですが、
今回の映画はウクライナも制作に加わって、
明確にスターリンと、
当時のソ連に迎合した大物ジャーナリストを、
完全に「悪」として描く立場です。
何処まで事実通りなのかは分かりませんが、
主人公の向こう見ずな若いジャーナリストが、
なかなか無謀で魅力的で、
スターリンにインタビューしたいと興味を持つと、
あらゆるコネを使い、紹介状を捏造までして、
モスクワに潜り込み、更にウクライナに潜入します。
特にウクライナの悪を糾弾して失敗した後、
新聞王ハーストに食らいつくところなど、
その執念としぶとさには、
思わず拍手したい気分になりました。
ただ、惜しいと思うのは、
肝心のウクライナの飢饉の描写が、
ただ雪に埋もれた寒村を主人公がうろうろしているだけ、
という感じで面白みも説得力もないことで、
ここはその悲惨さを明確に知らしめるような、
分かり易く決定的な「画」が、
必要ではないかと感じました。
また、キャラも主人公以外は、
善悪が明確な割には立っておらず、
ヒロインもモヤモヤした感じですし、
オーウェルの登場も何か中途半端でガッカリします。
トータルには、
かつてのイギリスの社会派娯楽大作という感じなのですが、
その割には小粒でキャラ造形も展開も弱く、
「せっかく良い素材なのに…」と物足りなくなる思いはありました。
そんな訳で今ひとつの映画ではあるのですが、
イギリス製の社会派娯楽映画の好きな方でしたら、
興味深い素材と共に観て損はない作品ではあると思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
実年齢56歳、血管・骨年齢30代の名医が実践! コーヒーを飲む人はなぜ健康なのか?
- 作者: 石原 藤樹
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2020/07/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
2020-08-22 05:49
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