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ヒドロキシクロロキンの中等症以上の新型コロナウイルス感染症への有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ヒドロキシクロロキンの新型コロナウイル感染症への有効性202007.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2020年7月23日ウェブ掲載された、
ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの、
入院した軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症に対しての、
有効性を検証したブラジルの臨床試験の論文です。

ヒドロキシクロロキンはマラリアの治療薬で、
基礎研究では新型コロナウイルスに対する、
抗ウイルス作用が報告されていて、
共に免疫調整作用があることより、
抗菌剤とアジスロマイシンとの併用も試みられています。

ただ、その臨床的有効性については、
一定の有効性があるとするものから、
無効であるばかりか、
有害事象による不整脈などで、
却って患者さんの予後に悪影響を与える可能性を、
指摘するような報告もあります。

日本では同様の病状に対しては、
ヒドロキシクロロキンよりアビガンが多く使用されているようですが、
世界的にはアビガンの方がずっとマイナーです。

今回の研究はブラジルで行われた介入試験で、
入院を要した有症状の新型コロナウイルス感染症で、
高濃度酸素吸入や人工呼吸器装着などの必要性はなかった、
軽症から中等症の667名を、
クジ引きで3つの群に分けると、
ヒドロキシクロロキン単独群と、
ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの併用群、
通常治療群の3群に分けて、
治療開始後15日の時点での病状経過の比較検証を行なっています。

比較的軽症の入院事例に限っての臨床試験、
という点が今回のポイントです。
ヒドロキシクロロキンは400㎎を1日2回、
アジスロマイシンは500㎎を1日1回、
7日間継続しています。

その結果、
ヒドロキシクロロキン単独治療も、
アジスロマイシンの併用も、
通常治療と比較して、
15日の時点での有意な予後の改善には結びついていませんでした。
一方でヒドロキシクロロキンの有害事象である、
心電図のQT延長や肝機能の低下は、
治療群でより多く認められました。

このように、
今回のブラジルの臨床試験においては、
ヒドロキシクロロキンの効果は、
アジスロマイシンとの併用を含めて、
明確に確認されませんでした。

少なくともNew England…誌においては、
一貫してヒドロキシクロロキンの、
新型コロナウイルスに関する有効性は否定されているのですが、
他に肯定的なデータもあり、
まだ結論が出るのは先の話になりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

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コメント 1

ななし

石原院長、はじめまして。
ヒドロキシクロロキンの有効性についてはネット上で意見が真っ二つに分かれており、正しいのか間違ってるのか判断が難しいですね。
そちらのブラジルの臨床試験は後期治療だと思われますが、早期治療や予防投与については高い有効性が示されているのではないかと思います。
院長はどう思われますか?
by ななし (2020-08-04 13:05) 

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